発酵・湊・神社仏閣のまち「沼垂」をまちあるき【まちあるきZINEイベントレポート】

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新潟駅から徒歩で約20分。新潟市内を悠々と流れる信濃川河口近くに、沼垂と呼ばれる地域があります。かつては、味噌や酒などを北前船で各地に運んでいた関係で様々なモノが集まっていたこの地を、発酵や港、神社仏閣の側面からまちあるきをしてみました。

そして、最終的にはまちあるき中に撮った写真と文章をまとめ、みんなでひとつの電子版ZINEをつくります。(前回は、西蒲区福井集落にて。イベントレポートはこちら

沼垂に精通した助っ人が集合

沼垂のまちあるきに参加してくださったのは、9人。沼垂に興味のある方、まちあるきを企画する側の方から、ZINEづくりに興味のある方まで、様々な理由で集まってくれました。

今回のまちあるき案内人は、自身で沼垂に関するリトルプレスやZINEも作成する、文旦さん。沼垂で生まれ育ち、一度は県外に出たものの、故郷に帰ってきて、沼垂に興味を持つようになったといいます。自分でリトルプレスを作るようになり、沼垂の歴史や昔から続く文化を調べるうちに、より沼垂のことを知るようになったそうです。

そして、場所を提供してくださったのは、沼垂に新しくできたコワーキングスペース「灯台 -Toudai-」さん(以下、灯台)。沼垂テラス商店街を管理する(株)テラスオフィスが新しく立ち上げたスペースで、かつては組合の集会所だったこの場所から新しい文化が生まれてくれればとの思いから、2019年6月に正式オープンとなりました。

その灯台の運営・管理を任されている(株)テラスオフィスの能勢正史さんも今回は案内人として参加してくださいました。沼垂テラスオフィス商店街の成り立ちや、朝市をはじめとする現在の取り組みなど、商店街のことについて聞きたいときに頼れる心強い味方。

この二人がいれば、「沼垂のどんなことを聞かれても安心」と思っていたら、まさかの沼垂テラス商店街の立役者田村さんまで参加してくださることとなりました…!「これ以上豪華な布陣はないのではないか」というくらい沼垂に詳しい人が勢ぞろい!俄然楽しみになり、イベント当日を迎えました。

さて当日は、少しずつ参加者の方が集まり始め、13時になるとほとんどの方が着席。さっそく、自己紹介からイベントはスタートしました。

一通り、自己紹介・イベント趣旨の説明を終えると、文旦さんから沼垂の歴史について、能勢さんからは、商店街の立ち上げと現在のテラスオフィスの活動内容を伺いました。

いたるところで歴史を感じられるまち、沼垂散策へ

その後は、さっそくみんなで沼垂散策へと出かけます。今回は、スポットを決めて紹介ではなく、歩きながら文旦さんが話してくれる形式。まずは、沼垂四ツ角にある靴修理とビールのお店「KADO shoe repair & beer stop」へと向かいます。そこでお店の説明を受けたあとは、大通りを超えて「ぬったり古町通り」へ。

ここには、堀川米屋や、味噌製造販売を営む「坂豊商店」があることから、自然と会話は発酵の話に。

沼垂は、かつて北前船が出航した湊のまちでもありました。西からは赤穂の塩が、きたからは大豆や麦が、新潟各地からは米が集まるエリア。こうした原料が身近にあったことから、味噌や醤油、酒などの発酵食品の製造が始まるようになりました。明治中期〜大正になると、沼垂内に事業者が30軒、酒造業者が8件にもなったそうです。

一行は、そのまま海の方面へ向かうと、「湊稲荷神社」へとたどり着きました。別名「沖の口湊稲荷神社」とも呼ばれ、沼垂湊の豊漁と海上安全を祈願して創設された神社です。その境内にある鳥居には、西日本の石工の名前も。沼垂が湊のまちだったことを示す記録です。

(みなとぴあの近くにも同じ名前の神社がありますが、そちらとは異なる神社なので、ご注意ください)

そして、そのあとは万国橋まで行き、灯台のあるテラス商店街方面へと戻っていきます。

路地を進んでいくと見えてきたのは、なにやら古そうな建物が…!聞くと、かつて醸造場として機能していた「小松原醸造場」だそう。いつからあったのか、今ではわかりませんが、見る限りかなり昔からあったようです。

そのまま進んでいくと、江戸時代から続く老舗の銭湯「千代乃湯」が現れます。今でも薪でお湯を沸かしており、近隣の住民からも愛されているのだとか。そして注目したいのは、このワイヤーの数…!

参加者の方のお写真をお借りしました

なんでも、煙突が古くて、ワイヤーを引っ掛けないと今の状態を継続できないのだとか。煙突が倒れないようにワイヤーを近隣の建物にひっかけて支えているのですが、その数がびっくりするくらい多い…!建物にこんなに引っ掛けることを了承するというのは、みんなに受け入れられている証拠なのでしょうか。

さて、そのあとは、案内人の文旦さんのあとについて、路地を通り抜けます。よくわからないまま抜けたら、すし処せかい鮨さんの前に出てきました。後から地図を見てもよくわかりませんね…(笑)

photo by 長谷川円香

そして、紹介してもらったのは、沼垂出身の流行歌手「小唄勝太郎像」。昭和8年に発売された「東京音頭」では日本中を沸かせました。ここには石像と顕彰碑が置かれてあります。

そのまま、線路方向へと向かい、廃線跡を見学。かつて、沼垂には沼垂駅という駅があり、北越鉄道(信越線)の終着駅として、活躍していました。その線は、鉄道建設や大陸貿易に欠かせない物質運搬の線路で、このおかげで沼垂は栄えたといっても過言ではありません。その結果もあり、今でも工場が立ち並んでいるのです。

その廃線上を歩き、沼垂テラス商店街へと続く道まで向かいます。そして出てきたのが、沼垂に唯一残されている鉄橋。現在の沼垂テラス商店街の通路も、かつては水路として使われてたそうで、この鉄橋はその名残。川を渡るための橋がいまでも残されているのですね。

そのあとは、お寺を少しまわります。特に面白かったのが、「悉地院」。ミニチュア版の四国八十八御砂巡霊場があり、ぐるっと一周しただけで、全て巡ったことになるのだとか。途中、休憩する場所もあったりして、みんなでワイワイと楽しみました。

そして、まちあるきを終えて、灯台へ。ここからは各自の作業へと移ります。とはいえ、この日はスポット紹介ではなく、歩きながらまちを紹介してもらうスタイルのまちあるき。どのように分けるかでかなり手こずってしまいました。

それでも、何とか完成しました!完成verはこちらをご覧ください!

まちを歩くだけで歴史が色濃く感じられる沼垂。発酵・湊・神社仏閣がそれぞれ別個のものではなく、関連していることを実感できるまちあるきでした。

次回のまちあるきZINEは鋭意計画中です!詳細は決まったら告知しますね!その際はぜひご参加ください。

photo by 能勢正史

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。