信濃川の支流である「五十嵐川」や奇勝「八木ヶ鼻」など、自然豊かな姿を今も残す、三条市下田地区。JR燕三条駅から車で30分ほどで訪れることができるこの地区には、「自然のなかでゆっくりと過ごしたい」と近年、家族連れをはじめとした多くの観光客が足を運んでいます。
そんな自然豊かな下田地区で、一般的な観光情報だけでなく、地元ならではの情報を聞きながら地域をまわりたいと思い、まちあるき企画を実施。その後、まわったスポットを参加者のみんなで電子版ZINEにまとめました。(前回は、同様の企画を新潟市の沼垂地域で開催)
イベントを開催したのは、心配だった天気も無事快晴となった7月7日(日)。朝10:30になると、三条市内や新潟市、長岡市など様々なエリアからの計5名の参加者が集まってきました。
自己紹介が終わると、まずイベントの趣旨・流れを説明し、下田地区の簡単な説明を。
そのまま、話題は今回の会場である「村長の家」のことに。「村長の家」とは、2019年5月にオープンしたゲストハウス。11:00〜14:00の日中は、下田豚ソーセージを使ったホットドックやドリンクを販売する、キッチンカーでの営業もしています。お昼にキッチンカーでごはんを買って、村長の家で食事。その後に下田を散策するのも良さそうですね。
さて、「村長の家」について教えてもらったあとは、みんなで下田散策へと出かけます。
自然に囲まれた、下田地域をまちあるき
最初に向かったのは、五十嵐川のそばにある「そば処 山河」。そばに使うそばの実はもちろん、天ぷらの山菜やキノコ、野菜などすべての食材を下田産にするほど、こだわりを持つお店です。
平成23年7月29日に三条を襲った水害で一度店舗は流されてしまいましたが、5年後の平成28年の7月29日に同じ場所で2代目のご主人が再スタート。今では、昼間は行列ができるほどのお店となりました。
店舗に入り、案内されたのは奥にある小上がり席。そこに座ると、五十嵐川の美しい景色が目に飛び込んできました。その景色を眺めながら味わえるこだわりのお蕎麦と天ぷらは、最高の一言。何度でも食べに行きたくなるお店でした。
さて、お腹も膨れたところで次は、日本の棚田100選にも選ばれた「北五百川(きたいもがわ)の棚田」へと向かいます。
民家と田んぼが並ぶ道を抜け、傾斜のある丘をひたすら歩きます。途中、鳥を模した鳥よけの写真を撮ったり、会話をしたりしながら、棚田を見られるスポットまで歩いて向かいます。
ようやく着いたとのことで、期待に胸を膨らませながら振り向くと、想像以上に美しい景色が目の前に広がっていました!暑い日で少し疲労も感じていましたが、何のその。一瞬で疲れは吹き飛びました。
春には水鏡が、夏には元気に成長する稲が、秋には収穫を控えた稲穂が輝く、季節によって、さらには朝昼晩と時間帯によっても様々な顔を見せてくれる「北五百川の棚田」。普段、触れる機会の少ない自然に触れるなかで、心が洗われるようでした。
続いて向かったのは、古民家カフェ「傳七茶屋」。古い倉庫を改装したカフェで、1階部分には、動物の毛皮も置いてあります。階段を登り、2階へ向かうと、目の前の五十嵐川を眺めながら飲み物を楽しめる2階の廊下が。さらに進むと、古くからあるレコードが置いてあります。レコードマニアからすると、かなり貴重なレコードなんだとか。
私たちが頼んだのは、アイスコーヒー。すると、コーヒーと一緒に出てきたのは、かわいらしい動物の陶器たち。シロップが入っているのですが、それが出てくるのは、なんと口から!みんなで笑い、驚きながら、写真を撮り続けました。
初夏の暑い日にカフェで休憩した後は、八木神社へと向かいます。かつては八木ヶ鼻山頂に鎮座していたともいわれる由緒正しい神社。大同2(807)年、八木大明神と守門(すもん)大明神の二柱を勧請し、この地区の守護神とされたと言い伝えされているそうです。
いまでも下田の人に愛される漢学の博士「諸橋轍次」ゆかりの地
八木神社で参拝をした後は、村長の家近くにある「諸橋轍次記念館」へと向かいます。諸橋轍次さんは、『大漢和辞典』編纂という偉業を成し遂げた下田出身の人物。 文学を愛し、郷里を愛し続けた諸橋博士のことを住民は今でも深く敬慕しています。
ここには、博士が14歳まで過ごした「諸橋博士生家」と、東京・西落合の諸橋邸に建てられていた茶室「遠人村舎」があります。「遠人村舎」は、昭和12年から数年間、『大漢和辞典』の編纂所として使われていました。この建物から、『大漢和辞典』が生まれていったのですね。
今回は時間の都合上で「諸橋轍次記念館」内には入りませんでしたが、下田に来た際には、こちらもぜひ。館内には博士の生涯や業績を展示・紹介するコーナーや、「漢字てのひらクイズ」や「漢字サークルビジョン」などといった子供が楽しめるスペースもあるそうです。漢字の捉え方が変わるかもしれません。
さて、その後は道の駅「漢学の里 しただ」へと向かいます。下田の道の駅には、地元で獲れた野菜や加工品が並んでいます。隣にある農家レストラン 悟空では、手打ち蕎麦や三条ポークの炙り丼などが味わえます。
お邪魔したのは、日曜日。地元の人や三条市内から来た方など多くの人で賑わっていました。
さて、道の駅を散策したら、村長の家へと戻り、写真編集と執筆作業。趣味でカメラをやっている人が多くいたので、写真のクオリティが本当にすごい!本当に助かりました。
完成したZINEはこちらです!
自然と、人と、文化に出会える下田。今まで知らなかった下田を知ることができたイベントでした。次回は現在計画中です!機会があれば、ぜひご参加ください。
photo by Toshiki Yoshinobu
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