受け継がれてきた技術を形を変えて、世界へ繋ぐ
金属洋食器の製造が全国で約90%のシェアを誇る、燕市。江戸時代に和釘作りから始まった金属工業は、時代の流れと共に金属やステンレスを使った製造業へと変わっていきました。
一菱金属は1978(昭和53)年に洋食器の磨き専門業として創業。古くより分業制がとられてきた燕市では工程ごとに工場が存在する。しかし一菱金属の初代社長は磨き事業だけでは経営が難しいと判断。並行して、ステンレス製の業務用厨房用品の製造も開始しました。加えて現在は、調理小物の製造・販売も行っています。
40年余りにわたり、業務用厨房用品の製造を続けてきた一菱金属ですが、より単価が高い家庭用のキッチンツールを作ろうと思案。全国の工芸品に詳しいアドバイザーの「隙間に汚れが残らないボウルってないのよね」という話から、家 庭用ボウルの開発に踏み切りました。ものづくり補助金(※)を機械の購入とデザイ ナーへの外注費として活用。フチに隙間を発生させないよう、専門のプレス機械などを複数台購入しました。またデザインは過去に木材や鋳型など他素材での経験が豊富なデザイナーに依頼。生産現場も見学した上でデザインを提案してくれました。
※ものづくり補助金…経済産業省・中小企業庁が、生産力向上に資する設備投資等を支援する事業の通称
家庭用キッチンツールは「conte」と名付けた独自ブランドで展開。使い心地の良い上質な商品としてライフスタイル ショップやセレクトショップ等で直接販売をしています。また数々の展示会やコンペティションにも参加するなかで、ブランド商品としての認知を広げていきました。2018(平成30)年には世界的に有名な賞も受賞。徐々に海外市場への進出の準備もはじめています。燕市の一工場からはじまったブランドは世界へと羽ばたくため、挑戦を続けていきます。
Change1:従来の技術を生かした上でボウルの使いやすさを追求
分業の町である燕市では、各工程を会社ごとに分けて商品をつくります。デザイナーは全ての関連工場を見学。現場で培った技術とボウルの使いやすさを掛け合わせ、デザインに反映してくれました。ものづくり補助金は機械の購入やデザインの外注費に充て、新商品を開発しました。
Change2:展示会に参加し、メディアと繋がる機会を創出
中央会からの誘いで2017年10月の「にいがたBIZ EXPO」に出展。県下最大級の商談型産業見本市でメディアからの注目も高い展示会でした。新潟日報やNHKも取材に来ており、展示会の様子が報道。メディアの方々と名刺交換もでき、新商品の案内や取材依頼等で直接やり取りができるようになりました。
Change3:認知を広げるため、戦略立ててコンペティションに応募
広報戦略の一環として、2016(平成26)年には日本国内でも知名度の高い「GOOD DESIGN AWARD」に応募し、見事受賞。テレビ取材などメディアの露出にも繋がりました。更に海外への販路拡大も見越しています。世界的に有名なコンペティションに出れば海外でも認めてもらえると考え、デザイン界で権威のあるドイツの「reddot award 2018 winner」「iF Design Gold Award 2018」も受賞しました。
知ってもらう機会を設けながら、世界への足掛かりをつくりたい
販売が始まって約1年半。まだ始めたばかりですが、国内 30店舗に設置され、少しずつ認知が広がってきています。 また受賞や取材により注目が集まることで、社内のモチ ベーション向上にも繋がり、会社にとってもプラスとなりました。今後は海外への販路も広げていきたいと考えています。展示会に出続けることは信頼獲得のための第一歩。 様々なコンペティションにも応募しながら、国内外で販売店舗を増やしていきたいです。
商品ピックアップ!「まかないボウル」
深型でフチに厚みをもうけることで巻かなくても自立するボウル となりました。汚れが溜まりにくく、卵などを注ぐときも水きれが良いことが特徴。全3種類の大きさ で用途によって使い分けも可能で毎日の料理がちょっぴり楽に、楽しくなる商品です。他にも「まかない平ザル」と呼ばれる、ボウルと共に使う平ザルも商品化。丸バットに平ザルをセットして水切りも可能。
会社情報
一菱金属株式会社
住所:新潟県燕市燕49番地7
TEL:0256-63-7211
HP:http://conte-tsubame.jp
※この記事は新潟県中小企業団体中央会・ものづくり支援センターさまとのタイアップ記事です。
※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。