小さな醤油醸造所が挑む、県産小麦を使った醤油造り/合資会社小林醤油店 【Change Leader vo.16】

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※この記事は新潟県中小企業団体中央会・ものづくり支援センターさまとのタイアップ記事です。

新潟県では数多くの魅力的な企業が活躍しています。このコーナーでは「前向きに自らを変化」させることで、新たな価値を生み出す「Change Leader(チェンジ・リーダー)」をピックアップ。

第17回は、人工的な温度調整を行わずに昔ながらの製法で醤油を製造する、小林醤油店。一度は生産が途絶えてしまった県産小麦を使い、天然醸造醤油を開発しました。

新潟県産の原料で醤油をつくりたい

 和食離れにより醤油の消費量は減少傾向。各醤油会社は、めんつゆ等の醤油加工品を製造することで、新たな市場を開拓しています。そんな中、小林醤油店は昔ながらの醤油・味噌のみで販売を続けていました。

 醤油加工品の製造に着手したのは、2011年に4代目の徹平さんが家業に加わってから。遅めの参入となったこともあり、かつお節の代わりに鮭節を使っただし醤油『鮭むらさき』や、つゆの素『鮭つゆ』、タバスコをイメージさせる和風辛口ソース『醸(かも)すこ』など、独自性の高い商品を開発しました。

 2014年には、原料から仕込みをしている小さな蔵ならではの強みを活かし、「すべての生産者が見える、安心できる醤油をつくろう」と、県内産の小麦と大豆を使った醤油の開発を決意。背景には、一度は生産量ゼロまで落ち込んだ県の小麦が、新品種『ユキチカラ』の開発により復活したことがありました。平成 26 年度補正ものづくり補助金を活用し、地元の農家が生産した小麦を焙煎するため、麦煎機とラベル貼り機を導入。

 試行錯誤を経て2017年に大豆と小麦の生産者の名前をラベルに印字した県内産の原料にこだわった醤油『朱鷺(とき)むらさき』を発売しました。現在は展示会や直接販売、インターネット等を通し、地道に販路を広げています。

県産の小麦と大豆を使用するため 村上市ならではの醤油を開発

以前は焙煎された小麦を仕入れていましたが、農家から直接仕入れるとなると、自分たちで小麦を焙煎する必要があります。そこで、ものづくり補助金を活用し、『醤油醸造用麦煎機』を導入。仕入れから販売まで完全自社仕込みができるようになりました。また、半自動でラベルを貼る機械も購入。手貼りだったラベル貼りを機械化したことで、時間と手間を大幅に短縮できました。

展示会出展で 県外での販売に繋げる

2017年11月に醤油を製品化すると、数々の展示会に参加。東京では物産展に出展したことで、都内食品売り場での販路を獲得しました。また、中央会からの誘いで、フードメッセin2018にも出展。既存客へ『朱鷺むらさき』を紹介するきっかけに、新規客には今まで取引のない商品が契約になるなど、新たな商品認知・販路拡大につながりました。

原料や製法などの独自性をデザインで伝える

新商品の開発を始めた徹平さん。「今までと違うアプローチを」と考えた際に、デザインにも力を入れるようになりました。『鮭むらさき』では、「従来の醤油のイメージを変えたい」とデザイナーにお願いし、洗練されたパッケージに。『朱鷺むらさき』では、外部のアドバイザーから「原料や製法を目立たせたほうがよい」と指摘を受け、現在のデザインになりました。

昔ながらの製法を続ける小さな蔵だからこそできる商品を

小林醤油店は、家族経営の小さな蔵です。大手のように大量に生産することはできませんが、原料から仕入れ、ゆっくりと熟成させる昔ながらの製法で作っています。農家が作る小麦は決して多いわけではありません。その小麦を仕入れ、昔と同じ製法で醤油を作る。小さな蔵だからこそ、小さな挑戦を繰り返すことができるのだと思います。その結果、新潟県産の小麦と丸大豆を使った『朱鷺むらさき』が完成しました。生産量としては少ないかもしれませんが、これからも一つひとつ丁寧に安心・安全な醤油や味噌を作っていきたいです。

4代目 小林徹平さん

丸大豆仕込二ケ年熟成天然醸造醤油 『朱鷺むらさき』

新潟県産の小麦、丸大豆ともに100%新潟県産を使用しています。絶滅の危機から復活を遂げた朱鷺のように、これからの新潟の象徴になって欲しいと願いを込めて『朱鷺むらさき』と名付けました。

会社概要

合資会社 小林醤油店
昭和10(1935)年に初代小林平一郎氏が味噌・醤油醸造業を創業。当初は木工や家具製造も行なっていた。昭和40(1965)年に法人化、さらに昭和46(1971)年に「合資会社小林醤油店」へと変更。途中まで仕込んである生醤油を仕入れる醤油会社が多い中、小林醤油店は完全自社仕込みで、人工的な温度調節をせず、1年以上かけてゆっくりと醸す製法をとる。

住所:村上市大津543-1
TEL:0254-62-2088
HP:http://www.kobayashi-shoyu.co.jp

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。