「切れ味」の優れた包丁のさらなる品質向上・販売体制の強化に挑む/藤次郎株式会社【Change Leader vo.15】

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※この記事は新潟県中小企業団体中央会・ものづくり支援センターさまとのタイアップ記事です。

新潟県では数多くの魅力的な企業が活躍しています。このコーナーでは「前向きに自らを変化」させることで、新たな価値を生み出す「Change Leader(チェンジ・リーダー)」をピックアップ。

第 15 回は出荷額で全国 5 指に入るシェアを誇り、いち早く海外展開にも力を入れた、藤次郎。 切れ味の数値化・製販一体化システムを導入することで、品質の安定や、生産の効率化に取り組みました。

日本包丁の人気に着目し、海外展開にいち早く着手

高い切れ味で料理人・海外マー ケットから評価される藤次郎ブランドの包丁。しかし、創業当初は、国内家庭向けの量産包丁を製造するメーカーでした。 現在の路線へと舵を切ったきっかけは、中国製をはじめとした安い商品の参入。価格では勝てないと、切れ味とデザイン性を追求した高付加価値化に着手しました。その中で、ドイツの展示会で「日本刀」のイメージから「日本の包丁は切れ味が良い」と人気を集めていることに注目し、優美な波紋が特徴のダマスカス鋼を使った包丁を中心に、海外営業を積極的に進めブランド認知を高めてきました。

ブランドの信頼獲得のため、製造体制の強化には積極的に投資。平成 25 年度補正ものづくり補助金(※)では、包丁の刃角度や切れ味、耐久性を測る『切れ味数値化システム』を導入。職人の勘に頼っていた品質の基準をつくることができました。翌 26 年補正では、『製販一体化システム』を導入し、インターネット販売・ショールーム内の生産・販売数を一元管理し、販売強化に向けて体制を整えました。

※ものづくり補助金… 経済産業省・中小企業庁が、生産力向上に資する設備投資等を支援する事業の通称

また、2017 年にはオープンファクトリーを設立。工場を見せるこ とで商品の価値を伝えると同時に働く人に誇りを与えたことが評価され、グッドデザイン賞を受賞。 今では多くの来場者が訪れ、ユー ザーとの交流を生み出しています。

品質の統一化を図るため、 切れ味を数値化

従来の切れ味を測定する機械は、固定した付箋を切り、その数を手動で数えるやり方で、多くの時間と手間が必要でした。そこで、刃角度や切れ味、耐久性を数値化・ 画像化できる『切れ味数値化システム』を導入。職人の勘に頼っていた研削・研磨・刃付け工程において、作業者ごとの数値を測れるようになったことで品質の安定化が可能となりました。

販売体制を整えるため、 製販一体システムの導入

時代の流れとして多品種・少量生産の需要が高まったこともあり、正確で細かく管理できるシステムが求められていました。そこで、生産・販売数を一元化することにより、各現場で商品マスタの付け合わせ比率が向上。進捗状況を全体で把握できるようになったことで作業を前倒しでできるようになり、全体総数で 1.4 倍近くの生産総量アップを実現しました。

会社を認めてもらうことは、社員意識の向上に繋がる

オープンファクトリーを始めたことで、“見られる”機会が創出され、工場内の整理整頓や積極的な挨拶など、社員の仕事に対する姿勢が変わっていきました。また、グッドデザイン賞受賞とメディアへの露出により、来場者が増加。社員がより誇りを持って働けるようになりました。また、2019年6月には中央会からの推薦で経済産業省・中小企業庁による「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定されました。

不測の事態に対応するため、常にバランス感覚を意識

為替の変動や世界的な経済危機など、何が起こるか分からない時代。 海外と国内の販売数、ブランド品と量産品の販売数のバランスは常に 意識しています。海外だけ・国内だけに偏って販売していると、為替 がひっくり返るなど、経済が大きな変動をしたときに対応できなく なってしまいます。また、築いてきたブランドもインターネットの書 き込みで一夜にして崩れる時代でもあります。ブランドに何かあった ときは、量産品の製品で持ち堪えられるよう、常にラインナップ数に は気を配っています。

代表取締役 藤田 進さん

藤次郎 閃光 DP ダマスカス鋼鍛造 三徳 180mm

ヨーロッパでのダマスカス包丁の 人気の火付け役でもある「閃光」 シリーズ。美しいハンドルと優美 な波紋が、刀身の鍛練を誇らしげ にアピールし、大空を一閃する閃 光のような切れ味を誇ります。

会社概要

1953年に農機具部品および農用 刃物の製造業として創業。1955年 に着手したフルーツナイフの製造か ら包丁分野に参入し、1980年には 当時の通商産業省が選定するグッド デザイン商品に「藤次郎 DP 口金付 包丁シリーズ」が認定された。2004 年にドイツの展示会に出展し、日本 製包丁の需要に着目。海外販売にも 力を入れ始め、2017年にはドイツ 駐在員事務所を設立した。

○住所 : 燕市吉田東栄町 9-5
○ TEL : 0256-93-4195
○ HP : http://tojiro.net/

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。