長年培われた技術を新たな商品で伝え継ぐ
桐箪笥の生産量全国シェア約 70%を誇る加茂市。桐は抗菌や防虫効果に優れ、湿度を調節する特性があり、衣類、医薬品、書画骨 董等の保管保存用の箱物として、人々に親しまれてきました。
野本桐凾製作所は1947(昭和22)年、桐箱の製作業で創業。1963(昭和38)年には茶道具や桐箪笥の製作もはじめました。1990(平成2)年に現代表取締役が就任すると、本格的に桐箪笥の製作を開始。現在では加茂箪笥協同組合にも加入し、加茂の伝統工芸桐箪笥を後世に伝える役目も担っています。
しかし、近年は生活様式の変化 により業界は縮小傾向に。野本桐凾製作所も発注数の減少に苦しんでいました。打開策の一つとして 以前より依頼があった「仙台箪笥」の製作に着手。量産のため、コンピューターで設計したデータ に沿って木材加工を自動で行う 「NC複合加工機」をものづくり 補助金(※)を活用して購入しました。手仕事と比べ生産効率が大幅に向上するとともに、多品種小ロット生産にも対応可能に。その結果、ホテル・飲食店の什器製造や、コーヒー機器総合メーカー Kalitaの「コーヒーミル・桐モダン」の製作なども増産できるよう になりました。
※ものづくり補助金…経済産業省・中小企業庁が、生産力向上に資する設備投資等を支援する事業の通称
また効率化により生まれた時間を活用し、自社製品の開発にもチャレンジ。第一号として桐箱でつくる飾り棚「想ひ凾」をリリースしました。さらにホームページを開設し、消費者に向けて直接情報発信もはじめました。これからも箪笥や箱物の製作も続けながら、桐の新たな活用方法や魅力を伝承する方法を探っていきます。
Change1:職人頼みの加工から 機械導入により生産力アップ
「桐の仕入先の確保と扱いが難しい」と以前より 仙台箪笥の販売業者から相談を受けていました。しかし鍵穴加工が多い仙台箪笥は手仕事での生産量に限界があります。そこでものづくり補助金を活用してNC複合加工機を購入。作業時間が16時間も短縮され納品できる数量も数倍となりました。
Change2:初めての自社製品で新しい層への訴求を図りたい
創業以来、受注商品を中心に請け負ってきましたが、今後は自社製品の製作も進めようと計画。様々な試作品作りに挑戦するなか、フォローアップ事業の専門家からのアドバイスをきっかけに、デザイナーと共に「桐箱のなかに箱を入れる」ことを発想しました。大切なものをしまう桐箱のイメージをそのままに、飾り棚の要素を入れた「想ひ凾」を製作。2018年の「ニイガタIDSデザインコンペティション」では審査員賞を受賞しました 。
Change3:新商品のPRにクラウドファンディングを活用
中央会からの誘いでインターネットで資金を集める「クラウドファンディング」にチャレンジ。「想ひ凾」の販売前に需要を図ろうと先行販売の形式でプロジェクトを立ち上げました。全国各地から支援があり、約3か月間で目標金額を102%達成。発売前からメディアに掲載されたり、SNSなどで口コミが拡がり、効果的なPRができました。
新しい道を切り開くのは若い感性
インターネットを活用して新たな道を作って欲しい
製造機械の導入は大きな挑戦でしたが、時代の要求に応えていくには必要だと思い決断しました。「想ひ凾」のデザイナーや、 コーヒーミルの営業の方など新しい商品を作ってきたのは若い人たちばかり。業界の外からの斬新なアイディアに心を打たれました。今はSNSを通して口コミが拡がっていく時代。今までのように頭を下げて仕事をもらうだけでなく、「こんな素敵な商品が作れる」というイメージづくりが重要だと考えています。
商品ピックアップ!「想ひ凾」(おもいはこ)
大切なものや日常使いの小物、コレクションの飾り棚として。あなたの好きなものを入れてお使いください。左右開閉式の桐箱は、開口部のサイズや中棚の高さを変えて、ご自身の好みに合わせてお使いいただけます。
*色は木地と黒、グレーの3 色。
会社情報
有限会社野本桐凾製作所
住所:新潟県加茂市青海町2-14-7
TEL:0256-52-1513
HP:http://kirihakoya.com
※この記事は新潟県中小企業団体中央会・ものづくり支援センターさまとのタイアップ記事です。
※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。