沼垂テラスの本屋「BOOKS f3」香川県からUターンしてきた店主に話を聞いてみた

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長谷川円香この記事のライター 長谷川円香(会社員)

 

2015年12月19日沼垂に、写真集を中心に取り扱う書店がオープン。その名も「BOOKS f3」。写真集を中心に取り扱う新潟には新しい本屋さんです。

新潟駅から東区へと向かう跨線橋の麓に広がる沼垂地区。古くは湊町として栄え、賑わいを見せていました。
2010年に佐渡生乳ソフトクリームと手作りデリの店「Ruruck Kitchen(ルルックキッチン)」がオープンし、翌年に家具とコーヒーの店「ISANA(イサナ)」、またその翌年に陶芸工房「青人窯(あおとがま)」がオープン。若者からの問い合わせが相次ぎ、沼垂商店街が注目されるようになったそうです。

そんな再生を果たした「沼垂テラス商店街」に新しく、サテライト店としてオープンしたのが「BOOK f3」。空き家状態だった店舗を改装し、昨年12月にオープンさせました。10年前まで時計屋さんだった当時の面影も残しながら本屋さんとして生まれ変わった店舗はどことなく懐かしさを覚えます。

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沼垂テラス商店街から歩くこと2分。県道3号の道沿いに構える店舗は一面ガラス張りで、店の雰囲気をそのまま見せています。

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店内は、古くからの柱に木目調の本棚で落ち着いた空間を作り出しています。

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入ってすぐには、おすすめの写真集が目に入りやすい位置に置いてあります。

普段、あまり写真集に触れる機会がない筆者も、つい見入ってしまい、改めて写真の惹きつける力の強さを実感しました。写真をやっている人はもちろん、普段写真を目にしない人でも楽しめそうな場所です。

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そして、店舗にはコーヒーも飲めるカウンター席が用意されています。ゆっくりと写真集を眺めたり、店主とお話しするには最適のスペースです。

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時間もあったので、少し店主である小倉さんに話を聞いてみることに。突然話かけたのにも関わらず、丁寧に対応してくださいました。

―素敵なお店ですね。立ち上げは昨年12月ということなんですよね。

小倉さん:そうですね。香川から10年ぶりに新潟に帰ってきて、お店を開ける場所を探しているときにここに出逢ったんです。

―香川にいらしたんですか!どういった経緯で香川にいらして、帰ってこようと思ったか伺ってもいいですか?

小倉さん:香川で2年間写真集を中心としたブックカフェをやっていたんです。香川っておもてなし精神っていうか、おすすめの場所とか聞かれると、みんな教えたがるんですよね。そのうち、自分でも色々教えられるようになってきて。そうしたときにふと思ったんです。「あれ?新潟のことって何も知らないな」って。昔は新潟ってつまらない場所って思ってんですけど、やっぱり今は当時と関心も変わってきているから。古いものに加えて新しい動きも始まってて。新潟って面白いなって。東京で暮らし、香川という地方で暮らしたか らこそ、見える視点から一緒に発信していきたいなってそう思ったんです。

ーそうだったんですね。最初から沼垂っていうには決めてらしたのですか?

小倉さん:いえ。全く(笑) 4月頃に新潟へ帰ってきたのですが、何より物件が見つからなくて…
「夏にはオープンさせよう」と思ってきたのですが、気付いたら夏が始まって焦っていました。夏が終わる頃、たまたま二方向の方から、ここの物件を紹介されて。初めて見たその瞬間にふっと心に落ちてきて。「あ、ここ良い。」って。直観でした。その後は、申請やら工事やらであっという間でした。工事初日、なんと壁を壊したんですよ!

ーえ、壁を壊す!?

小倉さん:そうなんです。今、一段あがっているところに、壁があったんです。素敵だったのですが、使い道がいまいち思 いつかなくて。大工さんに「この壁って壊せますか?」って聞いたら「やってみよう」って。衝撃でしたが、面白かったです。
あと迷ったのが、床です。おばあちゃん家にあるような昔ながらの床で。すごく素敵だったんです。最後まで迷っ てたんです。あるとき、友人に相談したら、「え、剥ぐでしょ」って簡単に言われてしまって(笑)そのとき一緒に剥いでくれたんですよ。それが契機になって、後は一人で床を剥ぐ作業をひたすらしてました。その後、急ピッチで進めて、2日前とかに本を並べました。

ー結構ぎりぎりだったんですね(笑)
オープンしてから、3ヶ月半。普段はどんな方々がいらっしゃるんですか?

小倉さん:学生さんからおじいちゃんまで幅広いです。「ここにこんなの出来たんだ」ってふらっと寄ってくださる方、写真集が好きな人、写真を撮っている人、色んな人に来ていただいていますね。あ、高校生がまだなので、高校生いつで もウェルカムです!笑

ーここらへん高校生多いですもんね。若い感性のうちに写真に触れてほしいですね。
普段、イベントもされてるんですよね?

小倉さん:そうなんです。月に一度、「写真集を囲む会」を行っています。
きっかけは、ある写真集の出版社のスタッフの方が新潟にいらっしゃったことでした。スタッフの方が来るなら、トークイベント としてやっちゃおうって。でもその日が年明け早々の1月3日で。人なんてほぼ集まらないだろうなって思ってたら、まさかの 超満員!毎回誰かを呼ぶってのは難しくても写真集についてみんなで話すくらいならできるかなって思って今の形で続けることにしました。
イベントには、写真を撮ってる人、見るほうが好きな人。色んな方がいらっしゃいます。「この本のここが気に入ってい る」等、ざっくばらんに話しています。新潟って意外と写真で繋がっている人が少なくて。そういう人たちが繋がる場になってくれたら嬉しいですね。

ー素敵な時間ですね。
イベント含め、今後どんなお店にしたいですか?

小倉さん:一対一で お客様に寄り添える本屋にしたいです。贈り物としてこういう人に渡したい。そう言ってくださる方もいるんです。進学祝いにカメラと写真集を渡したいって方もいらっしゃいま した。
そもそも自分が本屋をやりたいって思ったきっかけが、それだったんです。
東京で働いていたとき、友人の結婚祝いに写真集を贈ろうと思って本屋さんに行ったんです。最初は自分で選んでいたのですが、相談したら店員さんが何冊か出してくださって。それが全部自分にはない選択肢の本だったんです。 そんな素敵な本屋さんにあこがれて、やってみたいなあって思ってたんです。なので、お客様としっかりと向き合えるお店作りをしていきたいです。

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優しい表情の小倉さん。でもその内には、しっかりと芯が備わっている、そんな凜とした強さが垣間見れたような気がしました。
東京、香川で暮らした小倉さんが地元新潟でどんなお店にしていくのか、
これから「BOOK f3」が歩む道が、とても楽しみになりました。

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店舗情報

BOOKS f3(ブックス エフサン)

  • 住所:新潟県 新潟市中央区沼垂東2丁目1−17 〒950-0075
  • 電話/FAX:025-288-5375
  • 営業日:月・木・金・土・日
  • 定休日:火・水曜
  • 営業時間:13:00〜20:00(臨時休業あり)
  • webサイト:http://booksf3.com/

長谷川円香この記事のライター 長谷川円香(会社員)

 

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。