上越市高田には、いい建物があるんです。
それは、今年で築105年になる日本最古級の現役映画館「高田世界館」。もともとは1911年 (明治44年)に芝居小屋として建てられたもので、その後常設映画館として運営されてきました。現在もミニシアター系の映画を中心に毎日映画が上映されています(火曜休映)。
ここの建物のどこがいいかというと、「和」でも「洋」でもないエキゾチックなたたずまい。そう。ここは明治時代の棟梁達が西洋建築を見よう見まねで作った「擬洋風」の建物なんです。
木組みが美しい天井。日本の伝統的な装飾が、ヨーロッパ風の柱等の「洋」の中に施されています。西洋建築をモチーフとしながらも日本の独自性を出してきた、棟梁たちの誇りを感じますね。
この他にも、屋根や窓枠のカーブの丸み、木製のチケット売り場、扉に書いてある「押す」の文字など、何から何までいい味出してるんです。
で、なぜ今行かないと後悔するのかというと、
2016年の1月12日以降、耐震化の工事が始まるからなのです。
正面向かって左側の外壁が工事のために壊されてしまうんですね。(冒頭の写真だと見えづらいですが)
これが何を意味するかというと、
「近代産業を支えてきた築105年の文化財の一部」がなくなることになります。
ささくれだった木の窓枠と塗り替え前の煤けた色
むき出しのレンガの基礎
これらの築105年の歳月を体現した外壁が消えてなくなるとなると、大きな痛手です。古い建物好きにとっても、そうでない人にもです。
工事が始まる直前の2016年1月11日、つまり今週末までがデッドラインです。
まだ行ってない人、後悔しても知らないよ。
スポット情報
高田世界館
- 住所 〒943-0832 新潟県上越市本町6丁目4-21
- TEL 025-520-7442 (高田広告舎プラステン内)
- 館内見学時間 映画が上映されていない時間であれば可能
- 入場料 無料(見学のみなら)。団体での見学は要申込。
- 休館日 毎週火曜日
- URL http://takadasekaikan.com/
この記事のライター:かなんべ/フィールドワーカー
上越市出身。
団地・廃墟・炭鉱など、昭和のスポットをこよなく愛する平成生まれ。
最近はナリワイづくりの構想を練ることにはまっています。
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