※この記事は新潟県中小企業団体中央会・ものづくり支援センターさまとのタイアップ記事です。
「前向きに自らを変化」させることで、新たな価値を生み出す「Change Leader」をピックアップ。
第 17 回は、「堅木(かたぎ)」を小さく曲げる技術を開発し、雑貨品に応用したストーリオ。 簡単には真似できない曲げ技術を開発し、独自商品を次々と生み出しています。
曲げ技術を用い、美しい曲線が評価される独自商品を開発
インターネットの普及と、多品種小ロット生産の技術が進んだ1990年代後半。ストーリオは、木材加工業者と連携し、各々の家に合わせたオリジナル家具をDIYできるキットをWEB販売する事業で創業。造作家具に比べて圧倒的な価格優位で人気を集めましたが、大手同業社が同様のサービスを始めると売上は減少。模倣可能な『仕組み』ではなく、真似できない『技術』の必要性を感じました。
そこで目をつけたのが椅子などの大型木工品で使われていた「曲げ木」と呼ばれる無垢材を曲げる技術を、小さな木工製品に応用することでした。平成24年にものづくり補助金を活用し、無垢材への力のかけ方、曲げ角度、材質など、さまざまな要素を検証しながら、普通は曲げると割れてしまうような堅木を小さく曲げ加工できる製造装置を開発。こうして生み出した独自の曲げ技術で、名刺入れ、メガネケース、カードホルダーなどの木製雑貨を発表しました。無垢材の手触りと美しい曲線が評価され、セレクトショップなどの販路を拡大していきました。
新たに開発したランプ「TANZAKU Lamp」は、2019年のニイガタIDSデザインコンペティションで、美しい曲線美が評価され、大賞を獲得。今後はランプを皮切りに他のインテリア商品にも挑戦する予定です。
工程を内製化し、自社内で試作品開発を可能に
創業当時は、加工は全て外注していました。しかし、独自技術の確立のためには、自社で加工設備を持つことが不可欠。ものづくり補助金を活用し、コアとなる曲げ木の製造設備に加え、平成25年には切削加工の設備も導入しました。思うように曲げ加工できるまでには苦労はしましたが、万年筆ケースや新しい名刺ケースなど新商品を多数生み出すことができました。
エンジニア視点から木材を直接仕入れることを検討
2018年には曲げと切削の技術を活用し、魚沼市大白川のブナ材「スノービーチ」を使用した充電式テーブルランプを開発しました。元々市場から木材を購入していましたが、産地が異なることから品質が安定しませんでした。そこで、同じ木材を直接仕入れれば、課題解決するのではと思案。県内各地で探したところ、科学的に木材を解明・活用する大学教授と出会い、地球環境を考慮した持続可能な取り組みに発展させることになりました。
表彰・展示会で高級イメージの統一を図る
商品が完成すると2019年の『東京インターナショナルギフトショー』に参加。高級感のあるイメージに統一することで、ターゲットを明確に設定。新規や既存のお客様からも高評価で、新たな取引にも繋がりました。さらに、『ニイガタIDSデザインコンペティション 2019』でIDS大賞を受賞したことで、高級路線での販売戦略が強化されました。
扱う素材が違っても 諦めずに挑戦し続ける
私は、木工業界出身ではなく、金属加工業の出身。金型や機械を作る仕事をしていましたが、ストーリオに来て初めて木工加工に携わるようになりました。プラスチックや金属は熱を加えれば外側を広げて曲げられますが、木は簡単には曲がりません。最初は木を曲げようとしても何度も割れましたが、加工時の数値を少しずつ変えることで形にすることができました。今後は、消費者の隠れたニーズを探りながら『TANZAKU Lamp』のようなインテリア商品の開発にも力を入れていきたいです。
和みの空間を演出するテーブルランプ 『TANZAKU Lamp』
持ち運びができる充電式のテーブルランプ。かつて薪や炭として活用された里山のブナ林を使っていることから、囲炉裏のような柔らかな光と鮮やかな影をコンセプトとした。
会社概要
自ら木工品を作るために木材のWEB販売と木製の雑貨やインテリア製品の製造販売業を営むストーリオ。1999年にWEB販売の試験運営を開始し、接客から設計・生産・出荷までの一貫したシステムを構築した。その後、2004年に株式会社を設立。WEB販売事業を続けながら、木工製品を曲げる技術開発を進めた。現在は、木製の雑貨品やインテリア商品を開発・販売している。
お問い合わせ先
ストーリオ株式会社
住所 : 小千谷市本町1-3-1
TEL : 0258-81-0006
HP : http://www.storio.co.jp
※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。