「新米って何?」新潟の米屋に新米について詳しく聞いてみた

2015.11.4


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1836646_1412759712373404_630854777757864408_o【寄稿】つながる米屋 コメタク

 

こんにちは!つながる米屋 コメタクです。

2015年4月から新潟市内野で始まった、暮らしの中に好きと隙を増やす米屋「コメタク」。

県外から内野に移り住んだ3人が、異世代が集まるなじみの米屋を作るべく、朝ごはん会や米屋づくりワークショップ、ネット販売やおばあちゃんとの料理教室などを企画・実施しています。

そんな私たちの米の師匠であり、一緒に活動する仲間でもある、内野商店街の飯塚米屋さん。

今回は、身近なようで、実は知らない「新米」のことについて、飯塚さんにじっくり教えてもらいました!

お米学概論Ⅰ「新米とは」

ある日、東京育ちのコメタクメンバー・ゆきちゃんが飯塚さんにこんなことを聞きました。

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新米って、いつ出る米ですか?何なんですか?」って。

飯塚さんは「やっぱり、東京にいるとわからないかあ」と何やら納得した様子。

 

そして、こう教えてくれました。

「いわゆるチェーン店やコンビニだと、味を同じに保ち続けないといけない。

そうすると、新米になって味が急に変わると困る。

だから新米との境目がわからないように、年度の違う米を混ぜてるんだ」

年度の違う米を混ぜる。新米らしさが不利になることもあるんですね。

IMG_2136のコピー-546x364 「新米=美味しい」と捉えていた私たちにとっては、衝撃でした。

そして、どうやら「新米=美味しい」と誰もが思っているわけではなさそう。

コメタクとして活動する上で、新米が何かはわかっておきたい。

ここでもう一度、「新米とはなんぞや」を飯塚さんに教えてもらいたくて

お米学概論Ⅰの授業を開講してもらうことにしました。

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第1章 「新米とは」

飯塚さん:

「新米っていうのは、正式には11月1日以降に精米した米のこと。

11月1日になったら、年度が変わって

10月31日までに精米した米のことを古米と呼ぶようになる。

だけど一般的にスーパーで「新米です」って出だすのは9月末とか10月頭ぐらいから」

 

コメタク:

新米って、古米と何が違うんですか?

 

飯塚さん:

うーん。香りかなあ。新米の匂いがあるんだ。

あと、新米がうまいっていうのは、米の中の水分があってみずみずしいからだろうなあ。

米は生きているから、乾燥したところに置いておけばどんどん水が抜けていって、米の中の水分量が減るから

 

コメタク:

そうか。古米から新米に切り替わった時にハッとするみずみずしさは、古米が乾燥してしまっているからなんですね。

 

飯塚さん:

「うん。だけど古米も湿度65%温度15度の場所に置いておけば、新米と同じ水分量が保てる。

きちんと保管しておけば、古米の方が新米よりも鮮度が高かったりする。

 

新米も、9月に収穫すれば気温が30度以上になる日もあるだろ。そうするとやっぱり、新米っていっても美味しくないんだよ。

米の粗熱を取らなきゃ。水分量も粒によってまばらだから、新米は採れてから10日間ぐらい寝かせておいた方が旨いんだ。

米粒通しで水分を吸放湿しあって、平均的な水分量になるんだな。」

 

コメタク:

採れたてほやほやが絶対美味しいわけじゃないんですね。

 

飯塚さん:

「そう。あと、古米との違いは白度かな。

時間が経てば、米粒の表面のデンプン質が劣化して白度が落ちる。

だから水分は同じでも米は古くなると黒っぽくなる。だから、夏に向けて、精米の強度を少しずつ上げて

劣化したデンプン質の部分はこそぎ落とすようにしている。白度を上げたほうがお米の味が美味しくなるから。」

 

コメタクの講義メモ:

季節に応じて精米の度合いも変えているんですね。やっぱり、美味しいお米を1年通して食べてもらうための技があるんだなあ。

 

第2章.「新米の時期のお仕事」

 

コメタク:

新米の時期、普段と違うことって何ですか。

 

飯塚さん:

米を精米したら、とにかく食う。

今年のこの生産者さんの米はどうだって、とにかく食ってみないとわからないから。

自分の舌で感じてみるしかないからなあ。

この時期は毎日違う米を炊いてみては食って、また炊いての繰り返し。

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コメタクの講義メモ:

すごいなあ。今日も飯塚さんは、お米にまっすぐだなあ。

 

第3章.新米と古米の食べ比べ

 

飯塚さんの保存方法へのこだわりを皆さんにも感じてもらいたくて、ある食べ比べを実践しました。

 

常温で保存しておいた平成26年度産のコシヒカリと

飯塚さんこだわりの方法で保存した平成26年度産コシヒカリと

新米の食べ比べです。

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食べ比べの参加者のみなさんには

どれがどの米かを伏せて食べ比べてもらいます。

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「どのお米が一番好きですか?」と聞くと三者三様。

回答は3つに分かれました。

結果を発表すると、参加者の人もびっくり。

 

「えー!それは新米なの!」

「わー低温貯蔵のお米と新米の違いがわからなかったー!」

「わー常温で保存したのが食べ慣れた味だから、つい惹かれちゃった~」

などなど。

 

これには

飯塚さんもびっくり。

そして一言。

 

「やっぱり食べてきたもの、食べ慣れているものが美味しいと思うんだなあ。

味覚ってほんとうに、原体験なんだよなあ」

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4.講義の結論

  1. 新米と古米の違いは水分量だけれど、湿度65%温度15度の低温貯蔵庫で保管しておけば新米と同様の鮮度を保てる。やっぱり、米は生きている!
  2. 新米は採れたてほやほやが美味しいってわけではない。
  3. 美味しいと思う米はそれぞれ違うので、みんなそれぞれに美味しいと思うお米を食べればいい。

 

でした!

以上でお米学概論の授業を終わります。

 

 

いかがでしたか?

なんでもそうですが、「当たり前」を問い直すと新しい世界が見えてくる気がします。

「新米はおいしい」「魚沼産は美味しい」という、みんなが言う「当たり前」も、人によっては状態によっては変わり得るもの。

その当たり前を問い直すきっかけを作れるのは、ずっとひとつの大切なものと向き合ってきた飯塚さんみたいな人なんだろうな~。

新米についてのお話しは、新潟の方なら良くご存知かもしれないし、異なる見方や知識もあるかもしれないですが、

ある小さな米屋さんが、こういうことを強く感じて考えて思っているんだということを知っていただけたら嬉しいです!

新潟では美味しい新米が出回る時期。そういえばこんな新米の話があったなあ、と思いだしながら、いつもよりちょびっとお米のことを考えながら、ごはんを食べてみてくださいね。

なお、飯塚商店のお米は、つながる米屋コメタクのサイトより購入することができます! http://kometaku.net/wp/tokurasu/

第三章で書いていた食べ比べ&美味しいお米を食べるまでの講座も、ご要望に応じて実施いたしますのでご相談ください。


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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。