この記事のライター:小黒恵太朗
「新潟のオススメを教えて!」
県外の方に聞かれた時、読者の皆さんなら何と答えるだろうか。
地元長岡から関西の大学に進学した僕は、学生時代に何度か友人たちにそう質問されてきた。その度に「長岡花火!」と反射的に答え、次点で「長岡生姜醤油ラーメン」、そして次は…少し口ごもっていた。そう、正直に言うと、僕は生まれ育ったこの新潟のことを、ほとんど何も知らなかったのだ。だから見つけたかった。一般的にオススメと言われるような、観光ガイドに出ているような情報ではなく、僕でしか知り得ないような、そんなことを。もちろん、花火もラーメンも最高にオススメなのだけれど。
8月21日。午前10時。新潟市内野駅前に集合した10人は、それぞれのカメラを手に炎天下の中をそぞろ歩いた。
この日開催されたのは、「たゆたう路」。4月から毎月1回行っているまち歩きイベントは、5回を数えるまでになった。別に良い写真を撮らなくたって良い。でも、カメラを持つとちょっとだけ視点が広くなる。「あんな所に箱が沢山積まれてる!」「玉ねぎってこんな風に干すんだ」「これって何の看板?」そんなことを話しながら、思い思いにシャッターを切った。写し撮ったのは、内野の方々にとってはきっと何気ない日常だ。ただ僕たちにとっては少しだけ特別で、出来上がった写真は十人十色の魅力があった。
ちなみに、今回のメンバーはFacebookのイベントページでの呼びかけで集まったため、ほとんどが「はじめまして」だったのである。でも歩き終わる頃には、いや、割と初めのうちからゆるく和やかな雰囲気が流れていた。頑張って写真を写そうと肩肘を張って、目の前の小さな面白さを見過ごしてしまうのは勿体無い。だから、良い写真なんて撮ろうとしなくていい。むしろ、撮れてしまった良い写真を楽しむくらいがちょうど良いのである。
この「たゆたう路」は、僕ひとりで行っているわけではない。
今春の僕のUターン就職をきっかけに、高校時代からの友人である片桐悠太と「てんてこまい」というユニットを組んだ。新潟のみち・まち・とちの面白さを再発見することをテーマに、彼が一眼レフを、僕がトイカメラを使いながら、それぞれの視点を大切に写真を撮っている。
トイカメラというのは、その名の通りおもちゃのカメラで、オートフォーカスや手ブレ機能など、そんな高度な機能なんかついちゃいない。よくピンボケするし、よくブレるし、できることといったらシャッターを切ることくらい。でもシンプルだからこそ余計なことを考える必要がなく、日常のささいな一瞬にも敏感になれるのだ。
てんてこまいとして歩き始めて5カ月。
まだまだ「みちなかば」である僕たちだが、ちょうどそのタイトルで、写真展を開催する運びとなった。
先日9月4日からスタートし、17日まで新潟市内野にある「イロハニ堂」さんで展示をさせていただく予定だ。会場には8月の「たゆたう路」で撮影した写真も飾られている。自分が住んでいる街を歩き直してみたくなるような、そんな展示になったと思う。
この5カ月で地元長岡の他にも新潟市古町や三条市などへ行き、その度に少しずつ「好き」が増えてきた。今なら、新潟のオススメを以前よりちょっぴり自信を持って紹介できる、そんな気がする。
どんどんと見つかる街の魅力は、さながら「宝探し」であり、ある種の「発掘」のようだ。
繰り返しになるが、良い写真を撮ろうと肩肘を張る必要はない。撮れてしまった一瞬の中に、きっとあなただけの発見があるのだから。
てんてこまい展「みちなかば」
- 期 間:2016年9月4日(日)〜17日(土)
- 場 所:うちのカフェ イロハニ堂(JR内野駅から徒歩1分)
- 入場料:お店にて1オーダーをお願いいたします。
※6日(火)、7日(水)、13日(火)、14(水)はお店の定休日です。
※会場には駐車場がございませんので、近隣のパーキングをご利用ください。 - イベントページ:https://www.facebook.com/events/1579372815704540/
てんてこまい
この記事のライター:小黒恵太朗(会社員/てんてこまい/新潟移住計画)
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