この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
りゅーとぴあの舞台専属舞踊団「Noism(ノイズム)」。今シーズンで10周年を迎えたNoismは、日本で初、そして唯一の劇場専属舞踊団です。その記念企画として、新作・劇的舞踊「カルメン」の公演が6月6・7・8日に新潟で開催されます。今回は公開リハーサルにご招待いただき参加してきました。
カルメンの演出振付は芸術監督の金森穣さん。公開リハーサル後の囲み取材では、「なぜ、有名なカルメンを選んだか?」という質問に対して「舞踊家へアンケートを取った時に多かったから。それで、原作を読んだら、これはやらなければならないと思った」とのこと。19世紀に創作された原作小説とオペラ台本からオリジナルの物語を創作しました。
舞踊と演劇を組み合わせた「劇的舞踊」は2010年の「ホフマン物語」に続く2作目。Noism1に加え、その研修カンパニーNoism2 も出演。総勢20名の舞踊家による迫力ある公演になっていました。
今回のリハーサルでは、三幕あるうちの三幕目の冒頭約30分が公開されました。本番では一幕40分×三幕。休憩を挟んで2時間半程度の公演時間になります。
物語のヒロイン「カルメン」を演じるのはNoismの井関佐和子さん。大人数が舞台に立つ中でも、一際存在感がありました。
妖艶な魅力あるカルメン。それに翻弄されるドン・ホセ。公開された30分の中でも舞台は次々と作り替えられていき、飽きません。カルメンの悪女っぷりが想像できる影絵の演出がとても印象的でした。
カルメンは、世界中で愛される演目です。囲み取材で「Noismオリジナルの部分は何か?」という質問に対して、金森さんは「オリジナリティは興味が無い。世界中のカルメンを見たわけではないので、世界のどこかでは同じものがあるかもしれない」と回答。続けて「新潟という場所で、ここに所属する20人の舞踊家と一緒に、何をつくるのかというのが大切。それを見て、Noismらしさをお客さんが感じてくれればいい」とも。場所や役者などが違えば隠し切れないオリジナリティが滲み出てくるんだと受け取りました。
10周年という節目に対しても、金森さんは「何とも思っていない。100年続けたいと思っている。まだたった10分の1」と力強い回答をされていました。新潟という土地で着実に文化的活動を続けるNoism。市民みんなで支えて守っていく価値がある団体だと強く思いました。
「そもそも芸術には見方はない。舞踊や舞台を知らない人でも、個々の感性で楽しんでくれればいい」と語る金森さん。私自身、文化的な教養は低く完全に素人なのですが、やはり公演を見ると感じるものがありますね。「舞台芸術はそれぞれが全く異なる感想を持っていいもの」(金森さん)。間近で見る舞踊は初めての方でも、間違いなく楽しめます。6月6・7・8日の新潟公演をぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?
公演情報
劇的舞踊「カルメン」 新潟公演
- 日時:6月6日(金)19:00、7日(土)17:00、8日(日)15:00
- 会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
- 問合せ:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル Tel: 025-224-552(11:00~19:00/休館日を除く)
- Noism公式サイト:http://www.noism.jp/
ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
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