演出の違いは思想の違いから。Noism2春の定期公演2014に行ってきました

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この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

先日、公開リハーサルを取材させていただいた、りゅーとぴあ専属舞踊団「Noism」の付属研修生カンパニーである「Noism2」春の定期公演2014本番公演に行ってきました。

参加したのは3月9日(日)13:30開始の公演。公開リハと同様のスタジオBを会場としています。しかし、暗幕で約半分に仕切られ、ひな壇と座敷席が設置され、練習スタジオから立派な劇場へとその姿を変えていました。

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今回の公演では、Noism1所属の藤澤拓也さんによる新作「Four Fours」。そして、Noism2専属振付家兼リハーサル監督の山田勇気さんによる新作「Painted Desert」が上演されました。2作とも演出振付家の個性が出ており、まるで違う作品に仕上がっています。

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最初に上映された「Four Fours」。白と黒の衣装。白と黒の板。お面。2つに分けられた世界で浮いた灰色。裏にあるであろうストーリーと、壮大な音楽が印象的。動きも多く迫力在るダンスの作品でした。舞台道具である板の活用もユニークで、舞台という限られた空間の中に、新しい空間を作り出す役割を担わせたのだそう。

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一方の、「Painted Desert」。真っ白な床、壁。そして衣装。音楽は出演者の床を踏みしめる音、息遣いまでもが客席に聞こえるほど静かな時間が長くとってありました。そんな中、スイッチが入ったように大きな音の演出。そして、また静の空間へ。と、どこか2つの世界を行き来するような世界観が印象的。シンプルな空間の舞台でしたが、その枠に捕らわれず客席まで活用して空間を広げるなど、対照的な空間活用でした。

「だんだん良くなっている」という演出振付家の山田さんの言葉通りか、公開リハのときと比べればまったくの別物といえるくらいの迫力。思わず鳥肌が立つシーンが多数ありました。

アフタートークでも両演出振付家の思想の違いが顕著で面白かったです。道具の使い方についても藤澤さんは「象徴ではなく演技の幅を広げるもの」との発言に対し、山田さんは「象徴として使っている」など。それ以外にも作品を作る際のアイデアの源。演出の意味づけなど、同じ演出振付家という肩書きでもポリシーはかなり異なっているのが驚きでした。お互いの思想が作品の演出に大いに影響しているのだなと納得。

ちなみに、個人的にはお面を付けて演じる「Four Fours」は、インターネット上の匿名と実名の対立。「Painted Desert」にはSF作家フィリップ・K・ディックの世界観を感じました。もちろん、それを意識して作っているということはないでしょう。しかし、作品の解釈を観客がそれぞれにできるのも舞台の良いところだなぁと改めて思いますよ。

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さて、Noismの公演で驚いたのが女子高生のお客さんが十数名はいたことです。Noism広報の堀川さんに聞いてみたところ「地元のダンス部などの女の子達ですよ」とのこと。地元の若い子が毎回かなり見に来るのだとか。Noism2に2013年9月より所属した長岡出身の「松原広稀」くんも、「小さい頃に長岡でNoismのワークショップに参加したことがある」(堀川さん)のだとか。

Noismは設立10年。Noismを観て育った若い子達がNoismに加わる。そんな連鎖も始まっているようです。

Noism2春の定期公演2014は、新潟公演は3/9で終了ですが、3/14(金)の聖籠公演と3/15(土)燕公演が残っています。ご興味のある方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?


唐澤頼充ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

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