越後川口・六日市を“信濃川の育んだ暮らし”をキーワードに巡る【越後長岡・まちめぐり】に参加してきた

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唐澤頼充この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

 

長岡地域で開催された「越後長岡・まちめぐり」。広域合併した長岡市のうち2つの地域を何かしらの共通点で結び、それに関わる場所を巡るバスツアーです。9月28日に行われた「川口」と「長岡六日市」の2地域を「信濃川の恵みと暮らしの物語に触れる旅」というテーマで巡ってきました。

この日のスケジュールは以下のとおり午前中に川口地域を、午後からは長岡の六日市地域を巡ります。

  • 集合8:30
  • 【午前】川口地域「民俗資料館」~「上川地区用水」~「グループファーム武道窪」~「震央メモリアルパーク」~「塩殿発電所跡地」→「越後川口やな場(昼食)」
  • 【午後】六日市地域「妙見堰・津留番所」~「妙見神社・旧灯台」~「妙見三宅神社」~「中潟観音堂・三国街道跡散策」~「福島江出水口」
  • 解散16:00

この日巡る旧川口町は、かつては北魚沼郡に存在していた村で、2010年に長岡市に飛び地合併されました。信濃川とその最大支流の魚野川の合流地点でもあります。

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① 川口「川口歴史民俗資料館」

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最初にやってきたのは川口の歴史民俗資料館。川口文化会館なるかな~り年季の入った公共施設の3階にあります。しかし、中の資料館はかなりの充実度!

ジオラマやら年表やらがズラリと並んでいました。

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川口の歴史の始まりは旧石器時代の「荒屋遺跡」にさかのぼります。ここで出土した石器は「荒屋型」と呼ばれる特徴的な石器だそう。

そんな遺跡があった川口ですが、そこから一気に飛んで1600年まで歴史的な記録がないようです。江戸時代に参勤交代制度のため三国街道の整備が始まったことで川口は交通の要所として栄えはじめたとのことでした。そんな話をガイドさんにジオラマを見ながらたっぷり聞かせて頂きました。地形を見ながらだと発展の様子が分かりやすいですね。

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② 川口「上川地区用水」

資料館でジオラマを見ながら町の様子を聞いた私たちは実際に現地に足を運びます。

まずやってきたのが信濃川とその最大支流の魚野川の合流地点。

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信濃川は言わずと知れた長野県から流れる日本一の川。魚野川は群馬県との県境を発とした一級河川です。昔は陸路よりも水路が発達しており、物流は川を行き来する舟によって成り立っていました。十日町方面の信濃川と、魚沼から流れる魚野川の合流地点ということで、川口は水路の拠点として江戸時代を通じて三国街道を行く旅行者や魚沼の年貢米、特産品の輸送で賑わっていたと想像できます。

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そんな川口は水が豊かだ!と思いがちですが、その利用となると難しい問題があったようです。河岸段丘状の地形の川口では、川は一番低い所を流れているわけです。段丘上の農地へ水を押し上げる技術が開発されるまでは、限られたところでしか水田で米を作ることができなかったのです。

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上川地区用水はそんな段丘上に水を運ぶための用水です。一度、組み上げた水を国道の下を通してもう一度台地に押し上げる仕組みなど、高度な技術が使われています。上川地区ではこの用水のおかげで水田での稲作が広く出来るようになったそうです。

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③ 川口「グループファーム武道窪」

続いてやってきたのは、その用水を用いて稲作をする農業法人・グループファーム武道窪さん。

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日本一おいしいと言われる「魚沼コシヒカリ」の出荷のまっただ中でした。かつて水に悩んだ土地で、今では日本最高級のお米が収穫できるまでになるとは。農地改良の大切さを感じました。ここでは新米のおにぎりを頂きました!

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ちなみに用水が出来る前までは、稲作用の水は雨水などを自分たちで貯めていました。この当たりには今でもため池がたくさんあります。そして、そのため池で錦鯉の養殖などをやっているのです。新潟県の山間部で錦鯉養殖が盛んなのは、水の問題があったからなんですね~。

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さて、苦労して手に入れた水も、ポンプを動かすために当然電気代がかかります。そのため、この地域の農家さんはポンプ利用料として年間数万円支払いが発生しているそう。米作りもタダとはいかないわけですね。

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④ 川口「震央メモリアルパーク」

この武道窪地域は今から10年前、2004年10月23日の「新潟県中越震災」の震源地があります。震源地は私有地であるものの「震央メモリアルパーク」として周辺が整備され訪問することができます。

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⑤ 川口「塩殿発電所跡地」

そんな川口には、日本で2番目の「水力発電所」がありました。もちろん県内では最初の水力発電所です。

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1904年(明治37年)完成の北越水力発電所、通称塩殿発電所は以前に紹介した小国の実業家・山口権三郎氏が作ったものです。昭和26年に営業停止された塩殿発電所は、今は跡地として当時の建造物の一部が自然の中でゆっくりと朽ちていっています。その様子はまるでジブリ映画の天空の城ラピュタのよう!神秘的な雰囲気の空間でした。

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⑥ 川口「越後川口やな場」(お昼)

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さて、待ちに待ったこの日のお昼は川口と言えば「やな場」と言われるほど有名?な「魚野川」に架せられた日本最古の伝統を誇る「越後川口やな場」!「男山漁場」とも呼ばれています。

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残念ながら平成25年の豪雨災害でやな場が被害を受けたため、現在はやな漁の体験は休止。食事も別館で頂きました。

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鮎塩焼き、鮎飯、サケフライなどのお昼の定食を頂きましたよ!川口地域では鮎の塩焼きは「頭からかじりつき、しっぽまで全部食べる!!」もの。食べ終わった跡のお皿は骨も皮もなく、洗いたてのようにキレイになっているもの、だと教わり私も頭からがっぷり!

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魚の頭を食べたのは初めてかも。キモが苦かったけれど、美味しく頂きました。

⑦ 六日市「妙見堰・津留番所」

さて、午後からは魚野川と合流した信濃川を少し下った長岡市の六日市地域に着ました。最初に来たのは現在の「妙見堰」。かつて「津留番所」という船の関所があったところです。

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「津留番所」は江戸時代に藩の経済統制と警備を目的に設けられた番所。ここでは米、大豆、銭、綿などの八品目が勝手に地域から流出しないかを監視。対象の八品目の移出には手形が必要だったそうですよ。

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「妙見堰」は1985年に国が約220億円で建築した堰。川をまとめ、水量を調整する役割とともに、ここから水道利用水と農業用水を組み上げています。長岡市の水道水はここから浄水場へと送られたものなんですって!

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また、「福島江」と呼ばれる農業用水もここから組み上げられています。

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⑧ 六日市「妙見神社・旧灯台」~「妙見三宅神社」~「中潟観音堂・三国街道跡散策」

そんな川に寄り沿って作られてきた六日市を神社を中心に散策。妙見神社から信濃川を眺め、三宅神社の歴史に触れ、中潟観音堂でサプライズがありました。

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妙見神社

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妙見神社の展望台から

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昔使われていた灯台!

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灯台から信濃川を見るとこんな感じ。ここのろうそくの光が目印だったとか

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歴史古い妙見三宅神社

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三宅神社の脇には古い石像の数々

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中潟観音堂では毎年8月17日にしか見られない2体の仏像を見せてもらうことができました。言い伝えでは720年に彫刻された観音像で、一度は忘れられ埋められていたものを1460年頃に再び掘り出したものだと言われている。ものすごい歴史が詰まった仏像だそうだ。そんな歴史ある文化財を「今日人来るみたいだからお堂のカギを空けときました」とご近所感覚で見せてくれるのだから驚き(笑)田舎の暖かさと貴重な機会に感謝!

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中潟観音堂

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本当は年に一度しか見られない仏像

⑨ 六日市「福島江出水口」

そして、最後にやってきたのが「福島江出水口」。⑦で妙見堰から農業用水のために組み上げられ福島江で利用された水が、ここで信濃川に帰ってくるそうです。福島江は江戸時代に築かれたもので、長年この地域のコメ作りを支えてきたのです。

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おわり

と、川を巡って地域の暮らしに触れたバスツアー。盛りだくさんすぎて途中で頭がついていかない部分もありましたが、こうして振り返りながら記事を書くと、「あぁ、地域と信濃川とのつながりがよく見えるなぁ」と改めてコース選びのすごさを感じました。普段、観光に行くだけならほとんど見ないであろう場所を巡り、さらには新しい知識まで得られるのは「越後長岡まちめぐり」ならではの特徴ですね。毎回応募者多数で抽選になるのもうなずけます。

越後長岡まちめぐりは、「越後長岡・まちめぐり実行委員会」さんが企画運営されています。参加したいという方や気になる方は越後長岡・まちめぐり実行委員会さんの情報をチェックしてみてください!

公式facebookページ:https://www.facebook.com/pages/%E8%B6%8A%E5%BE%8C%E9%95%B7%E5%B2%A1%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A2014/694356533975334
コライト団体ページ:http://nkyod.org/group-list/machimeguri


唐澤頼充この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。