この記事のライター マルヤマトモコ(フリーライター)
「う…馬だ!!」
この作品を見たら、きっと最初にこう唸ってしまうと思います。
今週末に公開される「Noism2 春の定期公演 2015」のマスコミ向け公開リハーサルが、去る2月12日(木)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館スタジオBで行われ、取材に伺ってきました。
日本唯一の劇場専属舞踊団であるNoism1の付属研修生カンパニーがNoism2。昨年9月に7人の新メンバーが加わった18歳~24歳の10名の舞踊家たちから構成されており、日々レッスンを重ね、新潟市内外で公演活動を行っています。
Noism Website→http://www.noism.jp
と、いうわけでいざりゅーとぴあへ。
会場がスタジオということで、まず何よりも距離が近い!!!
通常の舞台芸術とは異なる、出演者と観客とを隔てるもののないフラットな空間構成。本番もこの距離感は楽しみの一つになるかと思います。
さて今回はNoism2専属振付家兼リハーサル監督の山田勇気さんの作品と、Noismの創設時メンバーで、現在はドイツのザ・フォーサイス・カンパニーなどで活躍する舞踊家・振付家島地保武さんの作品の2本立て。島地さんは今回の公演のために特別休暇を取っての来日です。
最初に公開された山田さんの「ユルリ島の馬」は、実際の北海道の無人島がモデル。昆布を運ぶために漁師に飼われていた馬が野生化し、所有者の高齢化などのために雄が間引きされ、雌が数頭暮らし、静かに絶滅へと向かっている実話からインスピレーションを受けた作品です。
最初のウォーミングアップから本編まで、ダンサーの動きが馬そのもの…!
二本足で歩いてはいるけど、間違いなく馬としか表現しようのないその動き。首を傾げ、時にじゃれ、時に群れ、一人で闊歩し、土を蹴り上げる。しなやかだけど、それは人間に与えられた関節の動きではなく、馬が持っているそれであり、音楽がかかってからはそこに「島で生きる時間」が流れ始めたようでした。
「舞踊・ダンスって、言葉や表情を介在させずに動きだけでこんなにも感情を伝えられるんだ」ということをものすごく強く感じた20分。一週間前だからかなり仕上がった状態なのかなと思っていましたが、「まだ動きを足していく」そうです。
わずかな時間をおいて、次は島地さんの作品「かさねのいろめ」。
様子は一変して、今度はソロの踊りの後半に次のダンサーが踊り始め、リレーし、他のダンサーがその様子を眺める構成。世界観も「誰もがみたことがないのに、皆が知っている場所をイメージした」と、抽象的です。島地さんが用意したコンビネーション(短い振り付け)をそれぞれが思うように取り入れ、自分の中の「夢」(※眠っている間に見るもの)を描く。1人だから表現できる「自分の中の世界」、2人になるから生まれる「関係性」。“誰一人として同じではない”ということ、“関係性が生まれ重なることで世界が増幅する”ということを想いました。
公開リハ終了後の囲み取材では、お二人のかなり対照的な演出の話が興味深いものでした。
「物語も場所の設定も先にある。そこからどう表現していけるか」「9月から今のメンバーで踊るようになって、段々個性が分かってきて、より良くなっていく段階」と語る山田さん。一方、島地さんは「表現したいことはあまり考えていなくて、一人ひとりがイキイキとできるように用意できるものを準備したい。ダンサーから出るものを待っている」とのこと。
全く同じメンバーが、全く違う踊りを表現する2作品。
内容は少し書きましたが、進化途中のほんの一部であり、なによりもライブでダイレクトに受ける生身の人間の凄さはまさに百聞は一見にしかず。
作品そのものの違い、ほぼ時間をおかずにまったく異なる表現をするダンサーの体、同じ空間が別物になる空気…いろんな見どころがあるNoism2春の定期公演2015、いよいよ今週開幕です。
先週の時点で完売のステージも出ているので、気になった方は是非お問い合わせを♪
【Noism2 春の定期公演 2015 公演情報】
公演日時:2015年2月20日(金)19:00、21日(土)17:00、22日(日)13:30/17:00
※20日、21日公演は完売
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館(スタジオB)
料金:1, 500円(税込・全席自由)
http://www.noism.jp/news/2015/02/noism22015-1.html#more
この記事のライター マルヤマトモコ(フリーライター)
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