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【春山登山展2015】by ヒッコリー インタビュー 「何故やるのか・これからの春山登山展」 

【春山登山展2015】by ヒッコリー インタビュー 「何故やるのか・これからの春山登山展」 

池トヒロクニこの記事のライター 池ト ヒロクニ(大学生)

 

2009年より始まって以来、新潟の春の風物詩ともなりつつある、クリエイター集団 ヒッコリースリートラベラーズによる「春山登山展」。

春山登山展はただのグループ展ではない。参加する若手作家は割り当てられた一室を自由に使い自身の表現を行う。さらに展示室は街のあちこちに散らばっており、観覧者はまるで街歩きをするかのように作品をめぐるところに、この展覧会の特徴はある。

春山登山展2015の開催にあたって、ヒッコリーの空間デザインや企画担当の、小出真吾さんを取材しました。

テーマはずばり、「何故やるのか」そして「これからの春山登山展」の二つです(若干テーマから外れた話題も)。

「何故やるのか」というのはより具体的に言うと、何故わざわざ街の中に展示室を散らばせるのか。何故わざわざ表現の場として作家に一人一部屋を割り当てるのか。何故………ということです。

毎年、規模などの面で着実に成長しつつある春山登山展も今年で7回目。ヒッコリーは春山登山展の未来にどのような展望を描いているのだろうか、ということで「これからの春山登山展」。

興味深いお話を伺えました。

僕たちのいる街を楽しんでもらいたい

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―― 前回は開催場所として中華料理屋さんとかもありましたよね。

小出さん(以下敬称略) そうだね。楼蘭の二階とか…

―― 今年は、ギュッとエリアを狭めたんですかね。

小出 たまたまだね。

―― たまたまなんですね。

小出 今年は使える場所を選んで行ったらたまたま近くだった。それはそれでなんか、そういう年もあっていいかな。

―― なるほど。

小出 全然、何かテーマとかってわけじゃないけど。

―― たまたまなんですね。春山登山展の特徴の一つがその、街の中で展示をするところだと思うんですけど、それってやっぱり、意識的にやってるんですかね。例えば中華料理屋さんで展示をしたりとかって。

小出 なんか…。まあなんだろうね。もともと、ヒッコリーで何か企画をできたらいいねって話をしてた時に、新潟って冬長いしやっと春になった時に街に来てもらって、展示と一緒になんとなくこう街とか僕たちが普段いるところの雰囲気を楽しんでもらえるような…。

―― なるほど。

小出 だからこう、街を活性化しようとか、盛り上げようってつもりではないんだけど、ちょっと普段僕たちが過ごしているとこにみんなが来て、春とかを楽しみつつ、作品も見てもらって、そのついでに周りの雰囲気とかも楽しんでもらえたらいいねって感じ。

―― なるほど。作品をまわりつつ、街並みも見てもらえたらなって感じなんですかね。

小出 もともと名前先行。「春山登山展」っていう名前の方を先に付けちゃったんですけど。

―― そうなんですね(笑)。

小出 回を重ねるごとに、場所とかも色々になったりするから、ほんとなんか登山しているような感じに、途中の景色を楽しみながら、何かを目指してみんなで歩いていくみたいな感じ。それがなんか…登山…風?みたいな感じで一応は。

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―― ヒッコリーがカミフル(上古町商店街)に移ってきてもう10年間くらい経つそうですね。この10年間でそういう活動をしてきてなにか変わったなって実感することとかってありますか。

小出 どう…だろうねえ。

―― 自分たちがそういう活動長くし続けてきて、街の雰囲気が変わったなって思ったりとか。

小出 街自体はどんどん良くなっていて、たぶん最初ヒッコリーが来た時より、空き店舗はすごい減ったんだよね。

―― ほう!すごいですね。

小出 だから空き店舗率っていうのはだいぶ下がってるって聞いた。あとは、いろんな人がいろんな側面から楽しんでもらって面白がってもらったり、なんか「いいね」みたいな感じの、してくれる人たちが増えたっていうのはね。

―― そうですね。

小出 僕たちの活動も普通にお客さんとして「いいね」って思ってくれる人とか、街づくりとかの面から面白がってくれる人もいるし、あと僕たちのデザインワークとか、アートワークの方で「いいね」って言ってくれる人もいるから、どれもそんなものすごいいっぱいいるわけじゃないんだけど、いろんな側面から、全体で見ると「いいね」って思ってくれる人の人数が増えた気がする。

個々が空間を作り上げる

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―― うんうん。春山登山展の特徴の一つって、若手の作家さんが、一人一部屋を使って、その空間を作っているってとこでもあると思うんですけど、それはやっぱり、何か思いがあってそういう仕組みにしてるんですか?

小出 それはね、ありますよ。

―― おっ。

小出 なんか、グループ展って、よくあるじゃないですか。

―― そうですね。

小出 グループ展って、いい面とわるい面があって、共通のテーマで一個の空間の中で、各作家さんが展示するって、こうトータルのコンセプトがあったりとか、各作家さんのバランスとかで、すごいよく見える展示もあるんだけど、…いまいちだなってのも実際あったりはするんだよね。

―― その作家さん同士が合わなかったりとか…。

小出 合わなかったりとか、ちょっとこうテーマがちぐはぐだったりとか、作家さんの組み合わせとか、空間とか、多分いろんな要因があって。あれはあれでいいんだけど、もうちょっと、なんかちゃんとした。ちゃんとしたっていうか、一人ずつの空間みたいなものをつくって、展示出来たらいいねみたいな気持ちがあって、それで一人一部屋ってなったんだよね。

―― じゃあ、グループ展のいい面も利用しつつ、わるいとこはそう補うって感じなんですかね。

小出 そう。これはこれで、悪い面もあるんだけど(笑)。僕たち色んな場所借りるから、いっちゃえば展示しにくいんだよ。

―― あ~。

小出 この部屋とかだって、写真を展示しようと思うのに、壁面が無いっていうまさかのね。

―― はははっ。ほんとですね(笑)。

小出 だいたい壁にくぎが打てなかったりとか、そういう制限がある場所があったりとか、スポットライトとかがそもそもないとこがあったりとか、いろいろあるから、ちょっと制約はあるんだけど。

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―― そうなんですね。ところで、今年の春山登山展のテーマは「わくわく」ですよね。

小出 うん。

―― 「わくわく」っていうのは、どういうことなんですかね。具体的にどうやって場所つくりとか作品に反映してるんですかね。そのテーマは。

小出 それはね、テーマは半分くらいは適当なんですよ。

―― うんうんうん。

小出 今回の「わくわく」っていうのは、ほんと前回の打ち上げの時に、作家さんが次のテーマを早く知りたいって言ったから、代表の迫さんがその場で「うーん。じゃあわくわくにしよう」って言って決まったぐらいなんで。

―― へー。じゃあそれもなんか名前先行っていうか、そんな感じなんですね。

小出 でもまあ、春だし、割とストレートっちゃあストレート。今までも別にワクワクってテーマは設けてなかったけど、基本やっぱりみんな、春になった時ってわくわくしたりするから。敢えて、テーマとして「わくわく」と言っちゃうことで、みんな何ができるかなって…。

―― なるほど。そういう狙いもあるんですね。

小出 そうですね。「わくわく」ってすごいぼんやりしてるじゃないですか。言葉だけだから。

―― はい。

小出 しかもその四文字だけっていう。だから、各作家さんが、それをどう解釈して…。

―― ああ。なるほど。

小出 自分が普段、何をしてる時にわくわくしてるかなみたいに考えてた人。あと、自分に最近起きた、わくわくした瞬間を切り取ってる人もいるし、お客さんにわくわくしてもらいたいみたいな感じの人とか。

―― はい。

小出 でもこうテーマをつけたのはここ二、三回ぐらいなんですよね。

―― あっそうなんですか。へー。

小出 うん。なんかあの、全然無視してもいいんだよね。

―― うーん…。なるほど。

小出 みんなが無視したら困るけど、そういう人もいていいかなぐらいな感じで。全然縛りもなくて。ただ、見てる人は一応テーマがあるとそれでちょっとこう、解釈のとっかかりで、なんで「わくわく」なんだろうって探すきっかけにもなるから。

―― そうですね。それで全くテーマを無視してる人もいるっていうのもなんか、面白いですね(笑)。

小出 そうそう。すごく根暗な作品とか作る人一人くらいいるかなって思ったけど、みんなちゃんと…。

―― わくわく感ありますよね。

小出 そうそうそう。

作家さんにとって“本当の”春山登山

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―― 思ったんですけど、春山登山展には作品を見ながら街歩きをするっていう面もあるじゃないですか。そこで、「春山登山」じゃなくて、「春山散策」でもよかったんじゃないかなって思って。

小出 うん。

―― 敢えてわざわざその、登るっていう言葉にしたのかなって。

小出 ほう。たぶんね、春山登山っていう名前はほんとね、響きだけ。

―― ほんとにそうなんですね。

小出 春山登山っていう響きだけで、決めたんだよね。うん。でも春山登山っていう響きすごいなんか、いいじゃないですか。

―― 春っぽい感じありますよね。

小出 でも実際はね危険な登山らしいよ。

―― あ、そうなんですか。

小出 本当の山登りでは。

―― 天候が変わりやすいとか。

小出 とか、雪解けとかさ。実は険しい登山らしいんだけど。なめてるといけない登山らしいんだけど。

―― はい。

小出 実際毎回僕らもやってて、パッと見はすごい楽しいんだけど、こう大変な面とかいろいろ出てきたりするので、そういうのはだいたい打ち上げの時に、「やはり今年の登山も厳しかったね」みたいなのもよくある。

―― ははは(笑)。それも面白いですね。

小出 何かちょっとハプニングが起きたりとかさ、やっぱ何かしらあるから。そんな大失敗したとかは無いけど、やっぱいろんな場所を交渉して借りたりするから、予期せぬことが起きたりとか。

―― 作家さんにとってある意味、本当の春山登山なんですね。

小出 そうそうそう。毎年のように出てもらってる作家さんも多くて、やっぱ昨年と全く同じこともしたくないし、やれないし。そんな思いもあったりするから、それで毎回作家さんたちもみんな悩んでいる。

―― うんうんうん。

小出 僕がだいたい場所を割り当てるので、けっこう無茶振り、ちょっと展示しにくそうな部屋に敢えてお願いしたりするし作家さんによっては。

―― ははは(笑)。

小出 この人だったら面白くなりそうかなとかの思いも込めてなんですけど。

―― はい。

一度全部、考え直すとき

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―― あの、ホームページで見かけたんですけど、来年以降の開催は未定って。

小出 あぁ~。

―― 今年で最後かもしれないとのことなんですけど。

小出 そう。それはね。ほんとにね、完全に未定。

―― あっ本当に。毎年、次年度は未定ってことなんですか?

小出 いや。んー、去年までは、来年もやるよ宣言を公けにしてた年もあるし、普通に作家さんたちにも、来年もよろしくねみたいな感じでやってたんですけど、まあなんか。なにか次のステップなのか区切りなのか、ちょっと今年は一応、考え…直す機会を作った方がいいんじゃないかなみたいなことを思ってて。

―― はい。

小出 続けていくことって、いい面もあるし、わるい面もあるっていうか、こう毎年春の定番とかもいいんだけど。そういうの僕も嫌いじゃないんですよ。いいともとか大好きだし。

―― はい。その定番感。

小出 この時間にテレビをつけたらやってるとか、この季節に行ったらやってるみたいなのって僕も好きなんだけど。こう、いかにマンネリ化しないかとか、お客さんに今回も去年と似たような感じだったねみたいのも言われたくないし、ある程度何か新しい何かをしたいっていう気持ちはあるんだよね。あとは作家さんもずっと毎年お願いしてる人たちが増えてて。作家さんたちにも、毎年やらなきゃいけないみたいに思われちゃうのもなんか違うかなっていう面もあったりして。まあほんとそういういろんな思いがあって。良くも悪くも。で、一回全部考え直そうって。

―― うんうんうん。なるほど。

小出 だから、来年何もなかったかのようにフツーに同じようなことやってる可能性もあるし、規模を拡大して「大登山展」みたいにするかもしれないし、すごい小さく一人とか二人でやってる可能性もあるので。

―― ははは(笑)。とりあえずこのコンスタントにやっているっていう流れを一回断ち切って、考えてみようっていう。

小出 うん。この何年かは、ちょっとずつ参加する作家さんが増えて、会場もそれに合わせて、二か所三か所と増えていって。二十人くらいの作家さんに参加してもらうっていう形が続いてたっていうのもあるんだけど。

―― なるほど。

小出 春をやめて秋にするかもしれないし。

―― 季節を変えて。

小出 そうそうそう。だから全然…。

 

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最後までご覧いただきありがとうございました。春山登山展にスポットを当てたインタビューでしたが、そこからヒッコリーのアートワークスに対する情熱であったり、作家さんたちへの敬意をも感じられる、そんなインタビューだったかと思います。来年の新潟の春が楽しみですね。

春山登山展
2015年4月3日~19日
http://www.h03tr.com/haruyama/


池トヒロクニこの記事のライター 池ト ヒロクニ(大学生)

 

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