燕三条ミニ四駆大学 OPEN CAMPUS 2017&ベイベイクデイ。三条ものづくり学校イベントレポート(前編)

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閉校した三条市立南小学校をリノベーションして2015年に誕生した「三条ものづくり学校」。
「ものづくりのまち」として注目を集める燕三条エリアのまったく新しい情報発信拠点として県内外から注目を集めています。

三条ものづくり学校内の常設施設「燕三条ミニ四駆大学」(以下「ミニ四駆大学」)は、ミニ四駆好きが集まる場として賑わいを見せています。2017年12月3日にミニ四駆大学の「燕三条ミニ四駆大学 OPEN CAMPUS 2017」が開催されました。2回目の開催となる今回は、米粉を使ったパンやお菓子などを楽しめる食のイベント「ベイべイクデイ」も同時開催。

前編では、その模様をフォト・レポート。後編では、開催に向けた主催者の想いの面にフォーカスします。

三条ものづくり学校

三条ものづくり学校を訪れ、中に入るとまず目に入るのがこちら。巨大な黒板にチョークで描かれた館内マップです。

長い廊下、教室…。

いかにも学校というこの特徴的な間取り。これをみただけでも小学校のあの懐かしさが蘇ってきて、なんだかワクワクしてしまいます。

今回のメインイベントであるオープンキャンパスが開催されるのは「多目的ホール」という場所のようです。

学校の中の広い場所というと、もしかして…。

そう、ここは、もともと学校の体育館だった場所。広大な体育館をそのままイベントスペースにしてしまったのです。

メインは元小学校の体育館で繰り広げられる「学長杯」

燕三条ミニ四駆大学学長・根津孝太氏(写真中央)。ミニ四駆の人気機種「ライキリ」のデザインなどでも知られる

メインはミニ四駆によるレース大会「学長杯」。ミニ四駆大学の学長・根津孝太氏の学長杯を賭けて熱い戦いが繰り広げられます。

ミニ四駆大学は「子供から大人まで誰でも利用できる、ミニ四駆を通した学びと遊びの場」をテーマに揚げる会員制スペースです。

今回で2回目の開催となる学長杯は、三条ものづくり学校とともに歩んできたイベントでもあります。2015年の大学オープンから2周年を迎え、大学の学生(※)数は600人に拡大しました。

※会員と同じ意味です。燕三条ものづくり学校の学生は入会費500円を支払えばどなたでも加入することができます。(詳細は三条ものづくり学校事務局まで)

全長約190mの第2回学長杯特設コース

こちらが、学長杯が行われるコース。

通常は別室で常設されているコースを元に、今回のレースのために「STC(三条タミヤファンクラブ)」のみなさんやミニ四駆大学の学生有志が特別に組み上げたコースです。

ミニ四駆好きの少年なら誰しも考えるであろう「学校でミニ四駆を走らせたい」という夢が形になったと言えます。

カーブしながら盛り上がっている大きな板があります。このコースの見どころのひとつらしいのですが、裏に回ってみると…。

支えているのは、かつて三条市立南小学校で使われていた跳び箱!

一見すると体育館に置かれた普通のコースに見えるかもしれませんが、ところどころに「これって学校で使っていた道具じゃない?」と思う、元学校を感じさせるギミックが随所に光っています。

レース参加者のひとりは「すごいコースですよね。設営した方達には頭が上がらない」と話してくれた

一日中ミニ四駆が会場を疾走

ビュンビュンと猛スピードで走り抜けるミニ四駆たちの間を縫って、時折モップのようなものをつけた風変わりなマシンがのろのろとレーンを走る姿がみられました。

地元のみなさんが改造して制作した「おそうじマシン」とのこと。先端にクイックルワイパーを取り付け、より効率的なコース掃除を実現したとのことでした。

「あったらいいな」をすぐ実現してしまうあたり、ものづくりのまちのスピリットを感じます。

小学生時代にミニ四駆にハマった筆者。うっかりレースに観入ってしまいましたが、ここで一旦、会場を散策してみたいと思います。

ラジコン体験会

ステージとそのすぐ下は、ラジコン体験コーナー。男の子だけでなく、女の子の姿も目立ちました。

ステージがちょうどラジコンを操作するステージになっています。なんだか不思議な光景。

「JUN WATANABE〜STENCIL WORKSHOP〜supported by GOBLIN OFF-ROADER」

数々のブランドとコラボしたクリエイションも次々とリリースする一方、熱狂的なラジコンファンでもあるクリエイター、JUN WATANABE氏による「STENCIL WORKSHOP」がオープン。

JUN WATANABE氏が自ら講師をつとめ、持ち込んだアイテムにこの日だけのステンシルを施してくれるという、ファンには堪らないイベント。

あらかじめ用意されたTOOL BAGにステンシルを施すこともできます!

ミニ四駆の見た目を競う「コンデレ」

こちらは「コンデレ展覧会」。コンデレとは、フランス語の「Concours d’Elegance(コンクール・デレガンス)」の略なのだとか。直訳すると「優雅さ(エレガンス)のコンクール」。いわば「見た目を競う大会」です。

大胆なダメージ加工が施された「ライキリ」

なんと消防車も!しかも三条市消防本部所属!

操縦席をよく見ると、そこに座っているのは…!

「和」がテーマのマシン

投票によって最も参加者に人気のある装飾のマシンが選ばれます。

開場直後は、人だかりができていました。「小学生時代にミニ四駆を作っていたけれど、いまではすっかりご無沙汰」と話す、小学生の男の子と一緒に訪れていたお父さんは「すげー!こんなのあるんだ」と、まるで少年時代に戻ったかのような目の輝きぶりでしばらく眺めていた姿が印象的でした。

ミニ四駆は速さを競うだけでなく、装飾やアイデア表現の場としても広がりを見せているのです。

やまざきたかゆき氏(写真中央)

ミニ四駆「デクロス」のデザインなどでも知られる、ハイパーデザイナーのやまざきたかゆき氏も来場。根津氏、JUN WATANABE氏の3者によるトークショーも開催され、会場を盛り上げました(その模様は本記事後編で)。

ミニ四駆だけじゃない!楽しめる仕掛けが随所に

こちらは「蒔絵体験」ワークショップ。実施するのは、三条市の「山田仏壇店」。仏壇に使われる装飾技法のひとつである蒔絵を、ミニ四駆のボディに施してしまおうというコーナー。

ちなみに三条ものづくり学校内に体験工房を開設していることも、イベントでのコラボレーションが決まった理由のひとつだったといいます。

女の子に大人気の「スイーツデコワークショップ」

こちらは「3Dモデリング体験」コーナー。

PCで設計を行い、3Dプリンターを使って出力が可能。自分の手で最先端技術を体験できるコーナーです。

このワークショップで作るのは、ミニ四駆に乗せるドライバー(操縦手)。

休憩スペースに置かれているのは、なんと小学校の机と椅子!

体験コーナーでミニ四駆に蒔絵を施すやまざきたかゆき氏。会場内を歩き回り、ファンと気軽に交流する機会も多く見られた

お米を使ったメニューが大集合!「ベイベイクデイ」

もうひとつのメインイベントが「ベイベイクデイ」。

米(ベイ)を焼く(=bake、ベイク)…つまり、米や米粉を使ったパンやお菓子を集めたマーケットです。県内各地から、お米を使った美味しいものが集結。

五泉市の人気ベーグル専門店、ReRi Bagelの米粉ベーグル。普段は米粉ではなく、自家製酵母と国産小麦で作っているのだそう。この日のために特別に焼いた限定メニューで出店。

おやつのような、おにぎりのような。不思議な食感。新潟産の米粉、野菜をつかったvegetannboの「おこめシフォン」。

明治4年創業、燕市の老舗菓子店・飴屋本舗は赤飯やおこわといったメニューを用意。

長岡市のNPO法人思いのほか。企業×大学のコラボで誕生した「おむすびジャム」

砂糖不使用&野菜をふんだんに使ったスイーツを展開するkall will storeの「MARNIE(マーニー)」

ティラミスのように見えるこちら。果たして何でしょう?

米粉とさつまいも、おからをココアパウダーでコーティングした「おからケーキ」なのです。試食させていただきましたが、自然な優しい甘みが印象的でした。

グルテンフリーのスイーツやグラノーラも。写真は新潟市のヴィーガンスイーツ専門店pursweets andのもの。米粉とともに、近年注目を集めるグルテンフリーの商品が数多く出店していたのも印象的でした。

会場に3台設置してあるトースターを使ってその場で熱々のパンやお菓子を食べることもできました。

ちなみにこちらは燕市に本社を置くツインバード工業(株)製の「ミラーガラスオーブントースター」。

トースターで焼いたアツアツのベーグルをいただいていると、多目的ホールの方向から大きな歓声が聞こえてきました。

白熱の学長杯

コースすぐ脇にある「車検場」。レースに出場するマシンが公式に設定された規格に適合しているか、厳格な審査が行われる。みな真剣。

多目的ホールではいよいよジュニアクラスの勝者を決めるレースがスタートしようとしていました。

スタートスロープにマシンをセットし、熱い戦いがスタート

根津氏、やまざき氏らが見守る中、大盛況のうちにレースは終了。歓声と笑顔が広がる中、第2回学長杯は幕を閉じました。

授賞式

根津氏、やまざき氏が自ら賞状を授与

白熱のレース後は授賞式へ。各クラスの優勝者と、コンデレ展示会の入賞者などに、それぞれ賞状と賞品が贈呈されました。

筆者は何度も多目的ホールとベイべイクデイの会場である105号室との行き来を繰り返していたのですが、不思議と「まったく違うイベントである」ということを忘れてしまっていました。

ミニ四駆を抱え、お母さんに連れられてベイべイクデイに参加

お父さん、息子さんに連れられてミニ四駆のイベントを観に行くお母さん、お母さんや娘さんに連れられてベイべイクデイに行くお父さん…という人の流れが自然に生まれていたように思います。それは、まるで学校の文化祭のような感覚でした。

それは、「元・学校」という場所が醸し出す特殊性も手伝っていたのかもしれません。

体育館、教室、そして特徴的な学校の廊下を介して、不思議とシームレスにつながる、なんともいえない自然さ、居心地の良さが生まれていたように思いました。

実はそこに、三条ものづくり学校の、場所づくりのこだわりがありました。

(後編へ続く)


IMG_7860この記事のライター 竹谷純平(フリーライター)

 

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。