この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
「サイエンスカフェ」をご存知ですか?全国的に開催されている科学のイベントのことで、よりリラックスして科学談義を楽しむ取り組みをしています。サイエンスポータルに載っている説明によると
サイエンスカフェとは、科学技術の分野で従来から行われている講演会・シンポジウムとは異なり、科学の専門家と一般の方々が、喫茶店など身近な場所でコーヒーを飲みながら、科学について気軽に語り合う場をつくろうという試みです。(引用:サイエンスポータル http://scienceportal.jp/eventinfo/scicafe)
とのこと。
このサイエンスカフェは、ここ新潟でも行われており、4/19にはなんと100回目の記念イベントが開催されます。
新潟駅南口のジュンク堂書店でイベント開催をしていることは知っていたのですが、まだ参加したことのなかったこのイベント。100回目のイベントの前にと、サイエンスカフェにいがた事務局幹事の本間善夫さんにお話をお伺いしてきました。
――サイエンスカフェにいがたはいつ頃から始まったイベントなのでしょうか?
本間さん:2007年の8月にスタートしました。当時はサイエンスカフェという取り組みを国が大学にやってほしいと声がけしているところでした。新潟では大学や科学館などが主体ではなく、有志たちの協力によって運営しています。
――もう7年近くやっているのですね。
本間さん:当時オープンした新潟駅南のジュンク堂書店さんが場所を提供してくださり、スタートしました。アクセスの良い開放的な場所で、いろいろな人がサイエンスに触れられる場になるよう工夫しています。
――サイエンスカフェというイベントはどんな特徴がありますか?
本間さん:ただ単に講義するだけでなく、リアルな場で人と人が対面して、コミュニケーションを取ることができるのが特徴です。日常生活の中でも気軽に科学談義ができればと思っています。
――「科学」というだけで、難しいイメージを持ってしまう人もいると思います。初心者が聞いてもついていけるのでしょうか?
本間さん:サイエンスの研究者達は、それぞれの分野ごとに最先端のことを研究しています。その内容は、同じ科学畑の私でもわからないことが多いんですね。ですが、サイエンスカフェでは、専門家が誰にでもわかるように自分の分野を解説してくれるのです。初めてその分野の話を聞くという面では、大人も子供も同じ立場なんです。ですからお子さんだろうと科学が苦手な人だろうと大丈夫ですよ。
――いろんな方が講師として登場していますね。
本間さん:ゲスト探しが一番大変ですね。ただ多彩なゲストをお招きしている結果、県外からサイエンスカフェにいがたに参加してくれる方もいるほどです。スタッフはすべて有志。話題提供者も無償。けれど開催を重ねるうちにサイエンスに関する人脈も広がり、いろんな方にお話ししてもらえるようになりました。
――震災や最近の論文問題など、科学が一般の人から遠くなっている印象を受けますが。
本間さん:日常生活の中には本当に多くのサイエンスが入ってきています。昔はラジオを自分で作ったり、テレビのチャンネルは本体のつまみを回さないと変えられなかった。けれど技術革新が進み、リモコンのボタンを押すだけでチャンネルが変わったり、スマホなどといった便利な製品が増え、仕組みの部分は見えにくくなっています。どんな技術を使っているかわからないまま、何となく使っている人がほとんどになりました。
――家電製品は一般の人にとってはほとんどブラックボックスですね。
本間さん:わからずに、便利だから使うというのは危険な面もあります。遺伝子診断などのこともありますし、科学の素晴らしい面と限界を市民が理解して、自分で判断できるようになるのが望ましいですよね。そのためにももっと科学を身近に感じてもらいたいと願っています。
――その場となるのがサイエンスカフェにいがた。
本間さん:市民が科学に気軽に触れられる場を増やすことが大切だと考えています。興味を持ってもらうためにテーマも多彩にしています。「化石」や「宇宙」の話、「オーロラ」、「3Dプリンタ」など。またジュンク堂さんでのイベント以外にも、新潟県立自然科学館や市立図書館で開いたり、外で化石を探すワークショップをやったりしています。
――肩肘張らずに参加できそうな雰囲気が伝わってきます。
本間さん:これからは科学の理解を深める「科学コミュニケーション」の重要性はますます高まると思います。専門家と市民がコーヒーを片手にディスカッションする。小さなお子さんから大人まで科学に触れる。そんな機会をこれからもたくさん提供していきたいと思います。ぜひ気軽にふらっと立ち寄ってほしいと思います。
本間さんは、科学に対していい意味で子供のようにキラキラとした興味を向けていて、話を聞いている私もワクワクしてしまうようなことばかり。「こんなにすごいんだよ!」といろいろな科学の出来事を紹介してくれました。「対面で話すのが一番」という本間さん。科学の魅力がびしびしと伝わってきましたよ。
科学をより身近に感じられるサイエンスカフェにいがた。
4月19日には『つながろう,新潟のカガク!』と題して、通算で第100回目のイベントが開催されます。ゲストは「有機化学美術館」管理人の佐藤健太郎さん。その他下記のプログラムで行われます。お時間ある方は、科学の世界に触れる機会としてみてはいかがでしょうか?
イベント情報
『つながろう,新潟のカガク!』サイエンスカフェにいがた
- 期日:2014年4月19日(土)14時00分~16時40分
- 会 場:中央図書館 ほんぽーと ★拡大版のためいつもの会場と異なりますのでご注意ください。
- 参加費:200円(コーヒー代) ★飲み物は準備の都合上ホットコーヒーにしますが,ジュースがよい方は予約時にご連絡ください。
- 参加申込み・詳細プログラム:http://www.ecosci.jp/n-cafe/ こちらよりお願いします。
ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
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