この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
起業と聞くと、何やら「ハードルが高い」「ものすごいチャレンジだ」といった印象はありませんか?そんな常識を覆すような起業イベントが4月4・5・6日に新潟で初開催されました。
そのイベントの名前は「Startup Weekend (スタートアップ・ウィークエンド)」。
その名の通り、週末の金・土・日。54時間で起業してしまおう!という何ともチャレンジングなイベントです。
「3日間で起業なんてできるの?」と驚きの目を向けてしまいますが、なんでも、Startup Weekend(スタートアップ・ウィークエンド)は、世界110ヶ国・500以上の都市で開催されているなど、世界的なイベントなのだとか。
記念すべき新潟発開催は「Startup Weekend Niigata 第一回(新潟で起業と仲間づくりの一歩目を踏み出す54時間!)」とのイベント名で告知が出回り、15名の参加者が集まりました。最年少は高校生!そして大学生と、多くの社会人が週末起業に挑みます。私のような見学者も合わせると60名近くがこのイベントに足を運んだのだとか。
それぞれが、自分がこのイベントで事業化をしたいアイデアを1分でスピーチし、他の参加者に自分のアイデア実現を手伝ってもらうよう呼びかけます。このピッチとその後の話し合いで、どのアイデアの事業化を行うか決めます。
そうです。Startup Weekendでは必ず自分のアイデアを事業化できるわけではないのです。参加者から支持を集め、一緒に手伝ってくれる人が集まり、チームにならなくてはいけません。
せっかく参加するならやっぱり自分のアイデアの事業化をしたい。各参加者は自分のアイデアを手伝ってもらうよう、ピッチ後に他の参加者を説得していきます。
チームで事業化に取り組むアイデアは、投票で決定します。誰のアイデアが採用されるのか…会場には緊張した雰囲気が流れていました。
金曜日の19:00に始まったのですが、その日のうちに、どのアイデアを採用するかと、どんなメンバーでやるかを決めてしまいます。このスピード感には個人的にとても驚きました。
皆の投票で決まったアイデア。それをさっそくチームに分かれて事業化する話し合いが開始されます。期限は日曜日の17:00まで。それまでに、消費者ニーズを調査したり、実際にテストサイトをオープンさせたりと、起業の実務を行うことになります。実践しながら起業のノウハウを学ぶことができるのですね。
果たして3日後、どんな事業が立ち上がっているのか?一日目終了後、見学者ならではの気楽な気持ちで会場を後にしました。
参加者の方々は話し合いを続けるため、お店などに再度集合したようです。そして、残り2日間は缶詰状態で県外から招かれた豪華なコーチ陣からの指導を受けながら起業計画を作っていくことになります。
そして3日後…。各チームから成果物のプレゼンテーションと、表彰式が開催!
参加者の皆さんの顔には疲労の色が。話を聞くと「深夜2時まで話し合いをしていた」「サービスが固まったのは日曜の15時頃」といった声が。起業アイデアを考える大変さが伺えました。
成果発表には多くの見学者が詰めかけました。今回事業化に取り組まれたアイデアは以下のとおり。
- 新潟のお味噌の魅力を伝えたい
- 破局しない為の仲良しカップルアプリ
- 劇団の活動やその魅力を沢山の人に知って貰いたい、劇場をお客さんで埋めたい
- アルバイトの長期病欠の人員補填ネットワーク
- 外国語の発音添削サイト
それぞれのプレゼンに対して、審査員の星野さん(写真右)と伊藤さん(写真左)から質問や、厳しい指摘なども。
しかし驚いたのが、1日目に事業化させると決まったアイデアをそのまま企画したチームがなかったことです。それぞれが「本当にこのサービスが求めらているのか?」「収益を上げることができるのか?」などを何度も見なおした結果、最初はただの閃きにすぎなかったアイデアが、実現可能性を帯びたビジネスプランとして生まれ変わったのです。
この間の苦労が想像できるような変化でした。
優勝したのは「Voice Square」というウェブサービス。外国語の発音で分からないところが分かるようになる発音添削SNSサービスです。優勝者以外にも素晴らしいサービスがたくさんありました。成果発表の様子は動画にもなっていますので、ご興味ある方はぜひ御覧ください。
最後は懇親会で交流を深めた参加者の皆さん。苦労を乗り切った仲間同士、互いの健闘をたたえ合っていました。まさに起業家コミュニティが生まれたのではないでしょうか?
「Startup Weekend Niigata」をきっかけに新潟から世界を「あっ」と驚かせるサービスが登場する日も遠くないかもしれませんね。
ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
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