この記事のライター 尾崎美幸(新潟NPO協会/月刊農家編集部)
小学校を卒業して早20年。当時は殺風景だった土手沿いに、いつの間にか桜並木が出来ていました。長さは恐らく200~400mくらい。川のカーブの形状に添って、桜並木もカーブします。近くに高い場所が無いこの並木道、道の端っこに立つと、終点もきちんと見られます。
私が小学生の頃は、道は舗装されていなく両脇を草に覆われたけもの道が通っていました。そこで授業中に写生をしたり。中学に上がると、帰り道にその道を通りました。その頃から、草が刈られ整理され、道幅も広くなり一部アスファルトで舗装され始めました。そして、定かではありませんが、桜が植えられたように覚えています。(部活帰り、その道を友達とふざけながら歩いていたら上から毛虫が落ちてきた事もあります。襟元にくっ付いた毛虫に気付かず、偶然手が当たり足元に落ちたと言う。恐らく一生に一度、私が毛虫に触れた奇跡の時です)
高校に上がりその道から離れ、社会人になって再びその道を通るようになると、道路はアスファルトでは無く、よく分からないけど少し柔らかめの素材で、綺麗に舗装されていました。桜の枝も勢い良く伸び、道から空を見上げると、今では枝先が見えます。そして毎年、桜の咲く時期だけ提灯が灯されます。
今日、同窓の友達を誘い桜を見てきました。時間は宵の口頃、太陽が沈む前後です。小学校の頃はこんな道無かった、と記憶を共有できる人が居てくれる事。戻ってしまえそうで絶対に戻れない「あの頃」を共有できる人が居てくれる事。友達の存在に掴み所のない感謝を感じながら、一つの街の変遷を見続けられる事に幸福感を持った時間でした。
自分の記憶を少し掘り下げてみれば、馴染み深い道の見え方が変わります。
あなたの「桜」は、どこですか?
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