この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
旧巻町、今の西蒲区で毎週日曜日の朝から畑作業をして、朝ごはんを作って皆で食べる「まきどき村」という活動が行われているのをご存じですか?キャッチコピーは「人生最高の朝ごはん」。
1999年にNPO法人ヒーローズファームの西田卓司さんが始めたこのコミュニティ。今年で16年目に突入したいわゆる「元祖朝活」なんだとか。
4月27日の日曜日に、参加することができました。
場所は新潟市西蒲区の福井集落。そこにある古民家「福井旧庄屋佐藤家」を毎回使わせていただくそう。茅葺屋根が立派な古民家は、地域の保存会の方々によって守られています。
当日は朝4:30に起床。5:30にJR内野駅前に集合し、車に乗り合わせて「福井旧庄屋佐藤家」へ向かいます。場所のわかる方は6:00に佐藤家へ到着すれば大丈夫だそうです。
6:00ころ福井旧庄屋佐藤家に到着。この時点で私含めると8人が集まっています。眠い目をこすりながらまずは囲炉裏に火を入れます。皆さん慣れた手つきで、杉の葉や枝やら薪を燃やし始めました。どうやらここの囲炉裏は「炭」ではなく、薪を直接燃やすよう。
男性陣が囲炉裏に火を入れている間に、炊事場では一人が米を研ぎ始めます。古民家と言っても、電気もガスも水道も通っていますので、炊飯器で炊くのかなと思っていると、なんと…
現役の釜が!釜炊きごはんですよ!囲炉裏に釜に、本当は不便なんだけれど、なんだか逆に贅沢に感じてしまいます。
ひと通りの準備が済むと、「さて、そろそろ畑に行きますか?」と皆で畑へ移動。
実は、先週の日曜日にジャガイモを植えたそうで、この日は特にすることがないのだとか。けれど初参加の私たちに気を使って、作業をさせてもらうことに。
朝のすがすがしい空気の中、農道を参加者で歩いて畑に向かいます。
回りは農村らしい自然豊かな景色が広がっています。
新潟市周辺の田植え時期といえばゴールデンウィーク。一週間後に迫った田植え。苗も大きく育ってハウスに保管されていました。
そんなのどかな風景の中、皆で話しながら歩いて数分で畑に着きました。
すっかり草取りも、耕すのも終えた畑が一面。手前の2うねにジャガイモが植えてあります。もちろん一週間では芽は出ません。
とりあえず、何もしないのも勿体ないのでということで、道路側のあぜ道の草取りをしました。
軍手とカマを貸してもらってザクザク。久しぶりに土を触って、どこか懐かしい気持ちに。私は長野県の田舎出身なのですが、小学校や中学校の頃は、畑作業を授業でやることも多く、夢中になって草取りをしたり、作物に水をやったりしていたのを思い出しました。社会人になると、なかなかこんな機会ないですよ。
ロケーションも良くて、蒲原平野を見渡せます。片側には角田山と弥彦山がすぐ近くに。
さて、草取りと言っても、小さなあぜ道だけで、しかも大人数だったのであっという間に終了。これから野菜を本格的に作り始めると、もっと作業が多そうですが、この日は福井集落をぷらぷらと散歩して佐藤家に戻ることに。
昔ながらの農村風景。
そんな中に、水と土の芸術祭の作品が。
福井地区を流れる矢垂川。自然を守るような形で整備されていて、すごくいい雰囲気です。夏にはホタルが沢山飛び交うのだとか!別名「ほたるの里」。う~ん、6月には見に来よう!
散歩していて驚いたのが、山肌にドアがたくさんついている場所があったこと!ここは集落の貯蔵庫だったそうで、冷蔵庫のない時代はいろいろと使われていたのだとか。今も、里芋の種芋が保管されているなど現役。すごい雰囲気がありました。
そして、やってきたのが直売所!
農家のおばあちゃんが新鮮野菜を売るお店で、毎週ここに寄るのがまきどき村の習わしだそうです。日曜日の朝だけ開いているお店で、まきどき村の活動が日曜日なのは「この直売所が開いている日に合わせている」とのこと。「最初は農作業をやっているだけだったんだけど、ここの漬物が美味くて、それで朝ごはんも食べようということになったんだよ」(西田さん)
おばあちゃんに漬物やかき餅などを試食させてもらう。「あんた新人だねぇ」と声をかけてくれました。まきどき村メンバーはもう顔なじみなんですね。
なんと、おばあちゃんが自分で作った本のしおりをプレゼントしてくれました!う~んこれで読書が捗りますな!
そんなこんなでいろいろと寄り道をしながら8:00頃(?)佐藤家に帰宅。普段は朝ごはんを抜くことも多い私。しかし、この日は朝から動きまわってお腹がペコペコです!
途中参加の人などを含めて朝ごはんの時間には12人になった一行。さっそくそれぞれが作り始めます。釜に火を入れ米を炊く係の人。
皆さん働き者で、何かしら役割を見つけて動き回っていました。私はトマト切ったくらいでほとんどウロウロ皆の様子を見ていただけです(笑)
会場の福井旧庄屋佐藤家は、囲炉裏の部屋だけでなく。かなり広く、庭もあってものすごく和みます。大人数が集まるイベントをやったり、公民館的な使われ方をしたりと、地域に欠かせない拠点となっているようです。
一度はこの古民家も取り壊しの話があったそうですが、地元の人の尽力によって残って今も地域で支えているそう。こういう場は私達みたいな若者も、もっと利用したり、協力したりしてずっと残していきたいと思います。
古民家をうろうろしていると、朝ごはんが出来上がってきました!ご飯、お味噌汁、いろいろと調理された野菜。
お肉はないけれど、なんとも贅沢な朝ごはん!囲炉裏を囲んで皆で車座になって。ゆっくりと朝ごはん。
忙しい日常の中では、ゆっくりと朝ごはんを楽しんで、語らうことはあまりないですよね。そんな日常から飛び出して、皆で畑作業して、歩いて、料理して、一緒に食べる。それだけのことがこんなに贅沢だとは!!
なんだか心に栄養が行き渡るような、豊かな日曜日を過ごすことができました。
この日は、10時から岩室とここ福井の佐藤家で大きなイベントがあるということで、まきどき村は10時前には撤収。いつもはもっとゆっくりしていくみたいです。それでも朝からあんなに動いてまだ10時!1日は始まったばかりです。休日の朝は二度寝三度寝を繰り返いしていたのですが、早起きしてよかったと心の底から思いました。
西蒲区福井地区までは、新潟中心部から車で30分程度。たった30分で、農村風景を楽しめるのは新潟の大きな魅力ですね。東京の人が羨みそうな農村体験を、皆さんも「まきどき村」でしてみませんか?
- まきどき村 Facebookグループ:https://www.facebook.com/groups/162407573931639/
ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)
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