この記事のライター 雪野瑞谷(環境保全系技師)
雪野です。
去年より少なめですが家の周りに雪があふれかえってきたので、今年も冷蔵庫のコンセントをぬいて、雪を詰め込んで再生可能エネルギーフリーザーにしています。
そしてそのなかには煮菜がたくさん。
秋に弥彦の畑からしこたま採った体菜を塩漬けにして、師走の中旬に打ち豆とあぶらあげ、にんじんといっしょにグツグツ煮て、細かくきざんだ鷹の爪を加えてつくりました(母が)。大好きな新潟の冬の味、冬のかみごたえです。
さて、日本人は昔から雪月花を愛でてきたので、雪つながりとは紐付けできるでしょうが、最近とあるきっかけで、こんな月の俳句を思い出しました。
盗人に とり残されし 窓の月
なんて素敵な俳句。さて、詠んだのはだれでしょう。
そう、新潟を代表する人物・良寛さんです。
昔、テレビをみていたら、この句がフランスで評価を受けている、なんて番組があって、このとき初めて知りました。以来、心に染み付いて離れません。
ところで、月は空にひとつしかないですが、月を読んだ句は星の数ほど。そんなに俳句は知りませんが、そのなかでもほかに私が好きなのはコチラ。
名月や 池を巡りて 夜もすがら 松尾芭蕉
中秋の名月の映る池を眺めて巡っていたらすっかり夜も更けてしまった、という松尾芭蕉の句。なんてとても風流で美しい句なんでしょう!
さて、良寛さんのほうは、「家にどろぼうが入って、ものを盗まれてしまった。でも、そのどうぼうも盗めなかったな、窓の月」という物悲しくも、やはり美しい情景を歌った句です。
ですけど、良寛さんの句の意味はそれだけはありませんでした・・・
と、その前に、私がなぜこの句を取り上げたかというと、愛読しているフリーペーパーの記事の中にでてきたからです。
まごころ印刷の(株)タカヨシという印刷会社さんが発行している季刊のフリーペーパー『ふうど』。季節ごとに新潟県の風土をひとつとりあげ、紹介している冊子です。とても好きで、置いてあるといつももらっています。
今冬は「良寛さんを想う」。いろんな良寛像が紹介されています。
このフリーペーパー『ふうど』、配布場所は新潟・新発田市の公的施設をメインにしたいたる場所、ほか長岡市立中央図書館、越後出雲崎天領の里、佐渡はSADO伝統文化と環境福祉の専門学校、ホテル大佐渡、東京はネスパス、ブリッジにいがた、などです。
ふうど:http://www.takayoshi.co.jp/csr/fudo.html
「新潟の風土を知ることができる」というのも好みなんですが、一つの記事がとても興味深いうえに、 行間もあいてて、すっきりした明朝体。写真も鮮やかでレイアウトも結構楽しいです。そしてちょうどいい存在感のうすさ。
しかも米ぬか油を使用したライスインキ、金具や熱が不要なエコプレスバインダーと、環境にやさしい設計。やるね!
ホームページ(http://www.takayoshi.co.jp/csr/fudo.html)でpdfで公開していますが、実際に手にとってもらって、この柔らかな文字たちがおこしてくる空気に包まれながら、紙のたわむ音をたのしみつつ風土を知る、のも一興です。
こんな感じの誌面です。
ふうど:http://www.takayoshi.co.jp/csr/fudo.html
さて、良寛さんは江戸時代後期に越後出雲崎に生まれた禅僧。詩人・歌人・書家としても有名です。
しかし、生まれも育ちも新潟ながら私は良寛さんのことはほとんど知りませんでした。子供とよく遊んだ、人に優しく振る舞ったという慈しみの心を持つ偉大な人物であった、と教わりました。あと書と俳句が有名な事ぐらい。
みなさんは良寛さんってどんな人物だったか知っていますか?
『ふうど』を読んでみると、良寛さんについて、いろんな発見がありました。
→後編に続く
ライター 雪野瑞谷(環境保全系技師)
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