キツネの峠のレジデンス。高柳にできたグルグルハウス。

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この記事のライター 雪野瑞谷(環境保全系技師)

こんにちは。水土と大地というふたつのスペシャルなプロジェクトがあるこの新潟県で美術の花咲き乱れることを祈ってます、美術大好き、雪野です。

さて、先月上旬も越後妻有は松代(十日町市)へ出かけました。燕から、ですので信濃川遡上ルートではなく、国道116号で柏崎→安田で曲がって海とは真反対の黒姫山の方に向かいました。

山あいを縫う鯖石川をさかのぼるとそこは雪深い峠。高柳です。

蜀咏悄1するとこんな所が。

蜀咏悄2えっ?と目を疑いました。こんな雪深い峠にギャラリーがあるなんて!

ですが急いでたのでその時はスルー。帰りに寄りました。ちなみに松代(十日町市)から近いですが、高柳(柏崎市)は『越後妻有』ではないので大地の芸術祭の作品はありません。

さっそく入ってみましょう。

蜀咏悄3蜀咏悄4おお。。。なんたる。。。。

蜀咏悄6

 

蜀咏悄6-next

蜀咏悄7

混沌。。。。

柏崎という言葉も入ってますね。

蜀咏悄8

蜀咏悄9

ふすまにも絵が。

撮るのを忘れましたが、こたつがあります。

蜀咏悄10蜀咏悄11金、銀のフチの絵。

。。。。ここはほんとに高柳!?

高柳といえば、
蜀咏悄12狐おどり。らしい。

この、通りのシャッターはもともと絵が描かれていました。

蜀咏悄13

画像引用:柏崎市高柳HPより

10月の夜には、幻想的なキツネの行列がそぞろ歩き。畳一畳の大油揚を目指すみたい。

ある意味、秘境といってもいいところ。

こういった所にもアートスペースがあるなんて知りませんでした。

作家の柴田智明さんと、オーナーの今井さんがいらっしゃいました。お時間があるそうなので、おふたりに色々とお話を聞かせて頂きました。

ここはグルグルハウス高柳、というそうです。

蜀咏悄14

また、すぐ隣りの部屋はコミュニティスペースに。

ご主人に伺うと、埼玉からここに来てグルグルハウス高柳を立ち上げ、柴田さんが最初のレジデンス(滞在制作)アーティストとのこと。まだ始まったばかりなんですね。

柴田さんはここに10月から滞在し、制作されていたそうです。

グルグルハウス高柳のブログ:http://gurutaka.exblog.jp

地域の方と交流もされている様子が伝わってくるブログです!

蜀咏悄15

ご主人に案内してもらいましたが、電話の博物館もあって、おびただしい数と種類の電話が。現在準備中ということですが、完成が楽しみです。

ありがたいことにお茶を頂き、ご主人や奥様とひととおりお話を。近所のおじさんも一時お茶にいらして、そのあと柴田さんとお話したり、聞いたりしました。

柴田さんは武蔵美ご出身の方で、東京・横浜のアートシーンに詳しく、なるほどでした。新潟にはなじみがないということでいらっしゃったので、私から新潟県の事を伝えましたが、しゃべりすぎたと若干反省です…。しかし、ひとつひとつ丁寧に聞いていただいて、とてもお人柄のよい方でした。

蜀咏悄16

お話を伺うと、この絵は、東京の電車の雰囲気をイメージし、それに色彩を重ねて描かれたそう。

この絵、いま振り返ると思うことがあります。

私は一時期東京で働いておりまして、目黒―八王子間を1.5時間かけていったりきたりしました。あんなに人いるのにみんな無表情で人臭い車内、とても苦手でした。ある日秋葉原で連続殺傷事件がおこって、「人ごみ」という空間に静かな狂気を感じるようになりました。その更にナーバスな人混みの電車内、事件をいたずらに煽る週刊誌の中吊り広告。忘れもしない。吐きそうになりました。

無表情とスーツの暗黒さと、あふれかえる車内広告の色彩がおどろおどろしく絡まり合う、この絵はこういうふうに私の無意識に混入してきたのかな、と。

って、この雪深き白い峠に、都会という異物があるのは驚きです。

誰だったか著名な方のセリフ、聞いたことがあります。「デザインは美しくなくてはいけない。でもアートは美しいものも、汚いものも扱う」。快適に過ごすため、というある意味予定調和ではなく、アートは相反する両方を扱い、常識を、価値観をゆさぶってくる。

たとえば2012年の大地の芸術祭にはこんな作品がありました。

クリスチャン・ボルタンスキー『No Man’s Land』

心臓音が大音量で鳴る空間の真ん中におびただしい量の古着。その山を掴んでは放ち掴んでは放つをひたすら繰り返すクレーン。会期の後半ではひどい悪臭がたちこめる。雨が降ればなお。

これは苦情が多かったそうです。子供たちも怖がったでしょう。でも、すごかった。旅した里山も、里山のなかのアートも美しかった。でもここは違った。臭くて、怖くて、なんだかわからないけど、一番すごかった。

そう、ここでは高柳という地と柴田さん作品とのアンビバレンスに、静かに揺さぶられた気がするのです。(とはいえ都会は好きですよ!)

蜀咏悄17さて、ディープゾーンにもご招待いただきました。別の空家をアトリエにしているそうです。

蜀咏悄17-NEXT

 

な、なんかみえます。

蜀咏悄18

蜀咏悄19いやはや。。。これは。。。退廃的というか、さらにおどろおどろしい空間…。

蜀咏悄20

蜀咏悄21もとはTシャツ売り場だったんですかね?

蜀咏悄222階へ。ぎしぎし鳴ります。

蜀咏悄23蜀咏悄24蜀咏悄25蜀咏悄26朽ちかけた家に描かれた布が掛けられます。人物画が中心のようですね。

この無造作な場所を制作現場にしているなんて。。。むしろこういった場所のほうが創造力を刺激するのかも。

蜀咏悄27きわめつけは、トイレに鮭が溯上してくる漫画!

爆笑しました。鯖石川を溯上して、浄化槽突き破ってくるのでしょうか? というか、鮭は自分の産まれた場所に戻ってくるといいますから、この便器で産まれたのでしょうか?もっと言うと鮭は土の匂いを覚えて帰ってくるといいますから・・・(やっぱやめ)

さて、柴田さんの滞在制作の様子はグルグルハウスのブログで覗けます。

グルグルハウス高柳のブログ: http://gurutaka.exblog.jp/21224295/

今展覧会は会期が延長し、3月8日(土)まで開催されています。ぜひ立ち寄ってみたください。

また、グルグルハウスは1ヶ月強スパンで作家を招待しレジデンス・ギャラリーとして運営していくそう。なので、今後も要チェックかな。

このあたりには、アオーレ長岡を設計した建築家:隅研吾による和紙と茅葺きの家「陽の楽屋」もあるそうです。今度は道中に寄りたいと思います。

また、関東からのひとが、ここに価値を見いだし、いろいろな事を始めている。今回はそういった「にいがた」の側面も垣間見たのです。

スポット情報
  • ギャラリーグルグルハウス高柳
  • 住所:新潟県柏崎市高柳町岡野町1750
  • E-mail: guruguruhouse.takayanagi@gmail.com
  • ブログ:http://gurutaka.exblog.jp/

雪野瑞谷ライター 雪野瑞谷(環境保全系技師)

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。