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連戦を終えて上位に踏みとどまったアルビ。今後の躍進が期待できるチームの「伸びしろ」

連戦を終えて上位に踏みとどまったアルビ。今後の躍進が期待できるチームの「伸びしろ」

この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

ブラジルワールドカップのメンバーが発表され、いよいよW杯に向けての気分が高まってきた今日このごろ。アルビからはFW川又選手のサプライズ選出はなかったものの、地元三条市出身で元アルビのDF酒井高徳選手がメンバーに入りました。地元選手の選出にアルビファンも大いに盛り上がったのではないでしょうか。

そんな中、Jリーグは早くも13節を終えました。34節まであるリーグの3分の1を消化したことになります。この時点でのアルビの順位は8位。今シーズンの目標であるACL出場権獲得圏の3位まで勝ち点差は2と、混戦の上位争いに踏みとどまっています。

得点力不足も負けない粘り強さ

今シーズンのアルビはとにかく負けません。13試合を終えて5勝6分2敗。2敗は18チーム中最も少ない負け数です。失点の数も11と、3番目に少ない数字と守備の硬さが光ります。一方で得点はなかなか伸びず13得点。一試合一得点という結果は得点力不足と言われても仕方がない数字です。

ゴールデンウィークを挟んでの連戦では、最後に柏レイソルに負けを喫し、10戦無敗記録は途絶えたものの、なんとか上位に踏みとどまっています。それも前線からの激しい守備をチーム全体で徹底しているからで、チームの成熟度の高さが光っています。

過熱するスタメン争い。チーム内での競争

昨シーズン後半戦はリーグで一番勢いのあったアルビ。通常であれば、そのメンバーが固定されて使われるものですが、今シーズンのアルビは違います。

4月はナビスコカップで調子が良かった若武者、FW鈴木武蔵選手が連続でスタメン起用。その後はしばらくレギュラーが固定されていましたが、ゴールデンウィークの連戦ではスタメンが度々入れ替わっています。

今年加入したボランチの小林裕紀選手は、開幕こそ怪我で出遅れていたもののここに来て存在感を増しています。もともとジュビロ磐田で柳下監督と一緒に活躍した選手。レギュラーとして出場数を増やしていくでしょう。また、意外だったのがルーキーのボランチ小泉慶選手の活躍。運動量豊富で「戦える選手」である小泉選手は19歳になったばかりながら、アルビのスタイルにピッタリ。早くも主力級の扱いを受けています。ボランチは成岡選手とレオシルバ選手のコンビでしばらく固定されていましたが、この2人の突き上げを受け選択肢が広がりました。

その結果、成岡選手がより前線で起用することができるようになり、攻撃陣のポジション争いが激化。田中亜土夢選手、岡本選手、鈴木武蔵選手、田中達也選手、エース川又選手と力のある選手たちが苛烈なスタメン争いを演じるようになりました。これは、チームの成長という面で非常に好材料だと思います。

さらにDFでも、今期アルビに復帰した大野選手が試合に出場するようになってきています。レギュラークラスの選手たちが日々競争をしているということは、アルビはまだ完成されたチームではないことの証明です。すごい伸びしろが見えていて、毎試合とてもわくわくしています。

レオ!レオ!レオ!

何試合か試合を見ることができて思うのは、やはりレオ・シルバ選手が別格だということ。試合内容がもどかしかったり、停滞感を感じることもなくはないのですが、レオを見ればその不安も吹き飛びます。

レオシルバ選手のボールハンティング能力、運動量、展開力はJリーグの中でも頭ひとつ抜けています。

強豪・鹿島アントラーズ戦のタッチ集がYoutubeにありましたが、まさに別格。

チームメイトからも賞賛の声が上がるレオシルバ選手。チーム内にお手本になる選手がいるというのは本当に素晴らしいことです。選手たちもレオを見れば、「まだまだ自分はやれる」「もっと伸びる」という気持ちになるというものです。「皆がレオのようなプレーを」と言うと夢物語のようですが、もしそのレベルに近づくことができれば、アルビはもっともっと強くなると信じられます。

抜群の組織力

これまでの総得点13というのは、「深刻な得点力不足」と言われても仕方ない数字です。それでもチームが崩壊せず、上位に踏みとどまれているのは柳下監督の指導のもと、チームが共通意識を持てている証拠です。アルビの組織力、具体的には守備スタイルはリーグ随一。堅守と聞くと引いて守るイメージを持ちそうですが、そうではありません。アルビは積極的に「ボールを刈りに行く」スタイル。一部では、「新潟は守備で試合を盛り上げられる珍しいチームだ」という評価があるほどです。

特に敵陣でハイプレスを掛け、ボールを刈り取るプレーは迫力満点。ボールを奪いに行くというのは、普通は抜かれるリスクと隣り合わせのリスキーなプレーです。それをチーム全体で実行できる組織を作っている柳下監督は優秀な監督だなあとつくづく思います。

そして、奪うまで、と奪った後の攻撃は、まだまだ改善できる。磨きを掛けられる。柳下監督が就任した2012年6月から積み上げてきた組織力はさらに大きな成果を生み出しそうです。

リーグ中盤戦に向けて

固い守備。負けそうな試合でも落とさずに引き分けに持ち込む粘り強さ。今期のアルビはチームの底力が上がったことを証明してくれています。中盤戦に向けて、まずは得点力不足の解消がテーマでしょう。しかしこれも、今のスタイルを続けていけば、ふとしたきっかけで改善するような気もします。世界的なストライカーだったファン・ニステルローイは「ゴールというのはケチャップのようなもの」と言いました。出ないときは出ないけど、出るとき はドバドバと出る。苦しい時に負けずに食らいついたアルビ。ケチャップもそろそろドバドバ出るのではないでしょうか?

それと、豊富な運動量をベースにしたアルビのスタイルは、夏場に失速しないかという懸念もあります。昨シーズンよりも「ボールを保持する時間が長くなった」と柳下監督は常々言っていますが、自分たちがボールを持っている時間にどれだけ省エネで、効率よく休めるかが課題となってきそうです。

なんにしろ、13試合を終えて堂々した結果を残しているアルビ。これから「伸びしろ」をいかに伸ばすかとても楽しみにしています。しかし、上位との勝ち点差よりも降格圏との勝ち点差が気になってしまう私は、遠慮し過ぎなのでしょうか(笑)


唐澤頼充ライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

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