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【インタビュー】「ママの心を元気にしたい」子育て応援施設 ドリームハウスの設立者にいろんな話を聞いてきた【前編】

【インタビュー】「ママの心を元気にしたい」子育て応援施設 ドリームハウスの設立者にいろんな話を聞いてきた【前編】

池トヒロクニこの記事のライター 池ト ヒロクニ(大学生)

 

新潟市の西区に「子育て応援施設」なるお母さんの居場所があるそうです。
その名は、子育て応援施設 ドリームハウス。

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「子育て支援」であれば行政の取り組みなどでよく聞くが、「子育て応援」とは耳になじみがない。
「子育て応援」ってなんだ?そんな素朴な疑問が、ドリームハウスを立ち上げた新保まりこさんにインタビューをしたきっかけです。

子育てを、応援したい。そんな気持ちの裏には新保さんの強く、熱く、そして優しさに満ちた哲学がありました。
ドリームハウスのことから始まった話はいつ間にやら、コミュニケーションや場づくり、社会観についてまで発展。
新保さんほど、人と人のかかわりをよく見つめ、よく考え、そして考えっぱなしではなく実際に行動している人はそういないかもしれません。

 

 

ママの心の元気が子供の幸せ

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―― ドリームハウスとはズバリどのような場でしょうか。

新保さん(以下敬省略):うーん・・・。ママの心が元気になる居場所。

―― 具体的にどのような活動をされていますか。

新保:一軒家を借りていつでもだれでも来れる居場所を作っています。そこには育児中のお母さんと、0歳から3歳のお子さんが主に来ていて、まずはママがくつろぐ・ゆっくりできるっていうことをとても大事にしています。で、その中で子どもも安心して自由にのびのびと遊べる環境なんですね。この場にはママの心が元気になるいろんな仕掛けがあります。

―― その仕掛けというのは。

新保:その仕掛けの一つは、まずゆっくりお茶を飲めるという環境を作っている。ドリンクバーがあったりしてゆっくりとママさん同士いっぱいおしゃべりする。とにかく話すってことで元気になってもらう。

―― あくまでも主人公は、子どもではなくママさんなんでしょうか。

新保:はい。そうです。

―― 一般的な子育て支援施設とかだったら、子どもがメインの場合が多いと思います。でもここはお母さんたちが主人公で、お母さんたちが元気になれるようにしているんですね。それはなぜでしょう。

新保:うーん・・・。はい。イメージしてください。自分も幸せで、お母さんも幸せである。もう一方は、自分は幸せだけどお母さんは不幸な状況にあって、幸せではない。あなたは後者のとき、幸せですか。

―― いや、お母さんが幸せのときのほうが幸せです。お母さんが不幸せだったら、自分もいやですよね。

新保:そうですよね。いやですよね。どんなに自分が幸せでもお母さんが幸せでない限り、自分は幸せな気持ちにはなれない。

―― なるほど・・・。ではそのような想いから。

新保:そうです。お母さんが幸せであることが、子どもの幸せ。そしてお母さんが幸せであることは、その子自身の幸せにも直結するんですよね。

―― ドリームハウスは子どもの幸せのためにも、まずお母さんの幸せ・心の元気を実現する居場所なんですね。

新保:そのことは何よりも自分が育児中に感じたことなので。私が幸せにならないと、自分の子を育てることができないと思ったんです。

―― ご自身が子育てをしていた際のつらかった思い出があるのでしょうか。

新保:おむつを替えて、ご飯を食べさせて、とにかく必死に頑張って子どもの世話をしてはいましたけど。だけど、私の心に余裕がなかったので不幸の連鎖というか、悪循環。イライラしてあたったりとか。私も子どももお互い精神的につらくなっちゃっていたので。その時に、“慈しみ育てる”ってことと、ただ単に“世話をする”ことはちょっと違うなって思って。しっかり自分の心に余裕があると言葉がけも違ったりして、こうコップこぼしちゃったときにどう対応するかもぜんっぜん180°違うんですよね。怒ってしまうのか、「こぼれて大丈夫?」って言えるのか。そこを左右するのが心の元気だと思うんですよね。そして私はママさんにとって、心が元気になれる居場所づくりこそが重要だと思ったんです。だからこの場所を絶対作らなくちゃって思ったんです。

―― 同じ思いを感じているお母さんが周りにもいるだろうなと。

新保:絶対一緒だと思ったんです。同じ思いの人がたくさんいるはずで、だけどあの・・・言えない。それを言えないということがやっぱり問題で。ママさんたちってなかなか社会的に声を発しにくい存在だと思うんですよね。「ママだから頑張って当然」とかっていいお母さんを求められるので、それぞれが持つ自分の個性とかなんて吹っ飛んじゃうんですよ。誰でも最初は母親一年生なんだから、うまくできるわけないじゃないですか。それなのにこう社長職を求められるというか、完璧を求められるところが母親のつらいところ。そんな状況に置かれて不満とか私はやっぱ言えなくって・・・。

マイナスなことを打ち明けられる場所ってなかなかないんですよね。だから、ママにとって安心してマイナスな感情を吐き出せ、またそれをお互いさまで聞いてくれる人がいる場所が必要。そんな場で心は元気を取り戻す。だから喋る・話すっていう部分はすごくおっきいポイントだったんですね。で、私たちの心を元気にするには3つの手段があると思うんですよね。一つはいま言ったように“話す”ことでしょ。二つ目は“とにかく身体を休める”。肉体的に休めるとラクになって気持ちに余裕ができる。24時間ずっと気を張り詰めっぱなしですからね。それが毎日続くとほんとにつらい。子供を見てくれる人がいるところで本当にリラックスして休む。あと、最後は“夢を叶えられる”ということですね。

 

誰かに喜んでもらえることが心の元気につながる

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―― 夢を叶える・・・?それも心の元気につながるのでしょうか。

新保:あたしね、育児中つらかったことの一つが、一方的に支援される側の存在だったことです。育児中って誰かに助けてもらってばかりなんです。そのときに出てくる「ありがとうございます」とか「すみません」とかって言葉はどれもマイナスの感情で出てきちゃうっていうか。常に「すみません・・・」て気持ちなんです。で、それがすごくみじめで。だって独身の頃まではみんな自分が好きなことをして生きて、それで人から「ありがとう」って言われてきたでしょう。それが嬉しくていろんな活動をやるでしょ。だけど育児中それがまったくなくなって、急にですよ。わからないことばかりで一生懸命に子育てしてるのに、それを認めてくれる人は誰もいない、誰も褒めてくれない。そのなかでしかも、人と関わるときには、なにか助けてもらいっぱなしで・・・。「ありがとう」って言ってもらえる自分でありたいの。それって当然のこと。人間の当然の欲求ですよね。

―― そうですね。誰かのためになれる自分でありたい。

新保:そう。誰かに喜んでもらって、「あっ自分は生きてていいんだな」「私が生きてることで誰かにいい影響与えているんだ」っていうのが人間の最低限の欲求のひとつだと思うのね。それを満たすことができるのが、ドリームハウスでいう夢を叶える・想いを叶えるっていうこと。具体的にどうするかというと、まず夢を話して「いいね!」って言ってもらえることからスタート。やっぱり最初は「わたしなんて何もないです!」ってなるんですけど、「昔、何することが好きだったの?」とかって丁寧に話を聞くと、「そういえば子どもが産まれる前は手芸とかやってました」とかって、だんだんと思い出すんですよね。で、その次は「じゃあ今度こういうのを作ってほしい!」とかってお願いするんです。すると最初は「えー!わたしなんか・・・!」って謙遜するんだけど、だんだんとノリノリになってくるんですよね。

 人に喜ばれることが嬉しいから。渇望していたからこそ泉が湧くみたいに喜びがあふれる。どんどんキラキラ輝いていって、しまいにはもう自分から作り始めるんですよね。たとえばそこに手作り雑貨の販売コーナーがありますけど、それもその延長線上で自然にできたっていう。他にもドリームハウスにはママの夢から自然発生的に生まれたものがたくさんあります。イベントでもなんでもそうですけど、やっぱりママの夢を叶える場所でありたいから運営側からなにか働きかけるってことはほとんどなくて、みんな自然に生まれる。この場所にはいっぱいあるんです、ドリームが。

―― たしかに、そういえばここの名前は「ドリームハウス」でしたね。

新保:気づきましたか!(笑)。 やっと気づいた!(笑)。みんなの夢があふれている。夢を形にする。それが心を元気にするってことです。

 

多様性あふれる社会が各自の心を育てる

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―― 以前、新保さんがおっしゃった「この家の中に社会を作りたかった」との言葉がすごく気になっていました。社会を作るってどういうことなんだろうなあって。

新保:えとね、それはどういうことかと言うと、なんて言うのかな・・・。よくね、子育てのことを少し上の世代の方たちと話すと「いや昔はよかったよね~近所の人みんなで子供を見合って」「なんか井戸端会議しながらさあ」みたいな。映画の『三丁目の夕日』みたいな。そんな話によくなるじゃないですか。わかりますか。

―― わかります。わかります。

新保:今はそんな地域の関わりが無いじゃないですか。つまり人間関係が希薄。私も近所の人に助けてって言えなかったんですね。最近は人に迷惑をかけちゃいけないって育てられるでしょ。だから「助けて」も言えなくなっちゃう。情報もモノもなんでも手に入る時代で、他人に頼らずとも生きてこれたのが、子どもを育てて初めて「人に頼らないと無理かも」「助けて」って思うの。だけど、いざそうなってもママたちは「助けて」の求め方がわからない。人のつながりが希薄だから地域の人も助けてあげたくても、どうしていいかわからない。“社会を作る”っていうことは・・・、助け合える。「助けて」って言わなくても助け合えるような人との関係性ですよね。それは、いわゆる子育て支援センターとか行政がやっている施設だと難しいんですよね。もう年齢制限でその場を利用できる人がキッチリ決まっているから。地域の人もふらっとは行けないし、子どももその年齢を過ぎたら行けないし。同じ人しか来なくて、同質的すぎるというか、閉塞感を感じたのね。だからその中の人たちの抱える悩みも堂々巡りでなかなか解決できない。

―― 新たな風が吹き込む窓がないですよね。

新保:そうそうそう。そこがちょっとデメリットですよね。だから私は「いろんな人が来る場を作りたいなあ」って思ったの。そうすることで、子供の世話をしたくてしょうがない地域の年配の方だったり、学生のボランティアの方もいっぱい来られるようになったり。異年齢・異なるバックグラウンドを持つ方同士が関わることって素敵だと思うんですよね。心が豊かになるじゃないですか。子どもはもちろん、ママだってまだまだ人として未熟なわけだから、いろんな年齢の方や自分とは違う人を見て学んでいく。心を豊かにしていく。でも、そんな環境って、外に出ると当たり前の社会。いろんな人がいるのが社会でしょ。それをこの小さい一軒家の中に作ることによって、この場で得た学びや経験がそのまま外の社会に出たときにも活かせるんですよね。

おじいちゃんのボランティアさんが言ってくれたことがすごく心に残っているんだけど、「ここにボランティアで来るまでは外で親子連れがいたとき、声をかけたくてもかけられなかった」。なぜかというと誘拐事件とかのせいで男性が声をかけると警戒されちゃうからね。「だけどドリームハウスに来て以来、親子に声をかけたり抱っこしたりすることが、あったり前の日常になった。そのおかげで外を歩いているときにも親子連れに自然と声をかけられるようになっていた」「自分が気づいたら変わっていた」。そうおっしゃってくれたのね。同じようなことはママにも言えて、やっぱり他の人・困っている人に自然と声をかけたり手を差し伸べられるようになってくるんですよね。それが私はなんだろ・・・地域の財産だと思う。

―― そういう人がいてくれると地域の関係性は豊かになりますよね。

新保:そういうふうにドリームハウスのなかでみんなの心が自然に育ってるよね。子どもも親もおじいちゃん・おばあちゃん、地域の方も。それぞれの心が育む場っていうのが私の言う社会を作るっていう・・・。いろんな年代の人、いろんな環境の人、いろんな立場の人が来て、この場所で自然と育ったものがまた地域に還っていくわけです。ふふふいいでしょー(笑)。

 

「ママの心を元気にしたい」子育て応援施設 ドリームハウスの設立者にいろんな話を聞いてきた【後編】に続きます≫

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【子育て応援施設 ドリームハウス】

〇住所  〒950-2054 新潟市西区寺尾東3丁目9-30
〇電話番号  025-268-2666
〇開館日  火曜~金曜、第2第4土曜日、第3日曜
〇開館時間  10時~14時
〇入館料(運営協力費)  500円


 

池トヒロクニこの記事のライター 池ト ヒロクニ(大学生)

 

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