【インタビュー】古町に生まれた新しいアートの拠点「フルマチ・アートスタジオ」!最初の滞在アーティストの茂井健司さんにお話を聞いてきた

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唐澤頼充この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

 

10月25日に新潟市中央区古町で商店街の空き店舗を活用しアート活動を通じてまちの活性化につなげるアート・コミュニティスペース「フルマチ・アートスタジオ」が本格オープンしました。古町6番町の帽子屋さんが入っていた店舗が新しくアートスペースへと生まれ変わっています。こちらを運営するのは「まちなかアート・スタジオ実行委員会」。事務局を新潟市文化政策課が務める市の事業です。

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アートの力でまちに新たな風を吹き込む「フルマチ・アートスタジオ」では二本柱の事業が行われます。一つ目は「アートコミュニティ事業」。6番町のアートスタジオを拠点にワークショップや展示会といったアートイベントなどを通じて人と地域をつなぐ事業です。
もう一つが「アーティスト・イン・レジデンス事業」。これは、市外からアーティストを招き、1ヶ月あまり古町界隈に滞在してもらいながらアート作品の公開制作と成果発表を行うという内容です。

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その「アーティスト・イン・レジデンス事業」の最初の滞在アーティストが「茂井健司」さん。10月26日から11月19日まで公開制作を行います。その招へいアーティストである茂井さんに10/27お話をお伺いしてきました!

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――今回アーティスト・イン・レジデンス事業で新潟市に滞在されることになりました。元々新潟に縁あっての参加なのでしょうか?

茂井さん:もともと新潟市西区内野でやっていた新潟大学教育学部が主催している「うちのDEアート」というアートイベントに呼んでいただいていました。その時から新潟大学の丹治嘉彦准教授とつながりができ、今回お声がけを頂きました。

――新潟市西区内野ではどんな作品を制作したのでしょうか?

茂井さん:もともと新潟市は「潟」という言葉があるように、低地の湿原で、水との戦いを繰り返して土地をつくってきた地域だと聞いています。制作を始めるにあたって、実際に内野の新川を歩きまわりました。それで思ったのが「穴掘りてぇ……」。で、穴を掘りました(笑)

――穴?ですか?

茂井さん:はい。大学生さんにも協力いただき、みんなで真夏に穴を掘って、暑くて死ぬかと思いました(笑)「穴the空(アナザスカイ)」という作品になりました。結構掘って、底に降りるスロープも作り。穴の底に直径3mの鏡を敷きました。穴の底には空が見えるという仕掛けです。

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――自由ですねぇ~(笑) 茂井さんは鏡やガラスを作品によく使うと聞いていますが。

茂井さん:そうですね。全面ガラス張りの家とか作ってます。丸見えです。「家」と「外」を分けている見えない境界ってあるじゃないですか。癒しの場である家と、外に出れば仕事に行ったり、人と話したり、戦いなど。その家と外を分ける壁を少し取り払ってみたいと思い、透明にしてみた、という意図があります。鏡は『写す・映す・移す』の3つの「うつす」を狙って使っています。例えば最後の「移す」は、内野で作った「穴the空」では、上にあるはずの空が穴の底に「移動させた」というように使っています。

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――今回の滞在中に制作する作品の構想を可能な範囲で教えてもらえますか?テーマは「光と水と人と街」と聞いてきます。

茂井さん:高さ90cm、横1m、長さ4mの内側が鏡張りで天板がガラス張りの大きな箱を作ります。箱の中に、お店や建物をイメージした鏡張りのオブジェを並べ、うっすらと水を張ります。箱の上に乗って歩ける作品で、ガラス張りの足元には敷き詰められた街のオブジェと合わせ鏡。そして水が張ってあるので歩くと波紋が広がる。どうなることやら……楽しみです。波紋をライティングしたり、人が歩いて作った波紋が店舗をイメージしたオブジェに写ったり、街に広がっていったりそういう作品にしたいですね。

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――それを公開制作で11月19日までに完成させると。期間も短く大変じゃないですか?

茂井さん:ご覧の通りまだ何も作ってません!ちゃんと間に合うかわかりません(笑)がんばります!でも、滞在中のワークショップを通じて一般の参加者の人にも作品制作に協力してもらおうと思っています。具体的には11月2日9日の2日間に「色」をテーマにしたワークショップを企画しています。「色あそび・色のひろがり・いろ色」という色の面白さを感じてもらう内容ですが、その中で皆さんが思う古町の「お店の色」や「街の色」を作品の箱の中に並べるオブジェに着色してもらいます。

――自分が関わったパーツが、アート作品に活用されるのは、楽しみですね。

茂井さん:ワークショップでは参加者に実際にお店に足を運んでもらい、お店の中を見せてもらい、できれば人の話を聞いて、お店の色を決めてもらいたいなと思っています。人と場所と店舗とかの関わりを作れないかなと。アートをきっかけにお店の人と話をする。ワークショップが古町の人と人とのふれあいのきっかけになって欲しいと思っています。
今(10/27取材)は、ワークショップで参加者が伺う商店街の方々に取材をお願いして回っているので、明日も明後日もまだ作品の制作には着手できないと思います(笑)

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――実際に何度か足を運んでいるとのことですが、古町ってどんな印象ですか?

茂井さん:もちろん1番町から9番町まで歩かせてもらって、周辺もいろいろ歩きまわりました。気持ち良い場所ですけれどシャッターも目立ちますね。ただ、若者も頑張っていたり、すごくイベントも多いし、頑張っていると思います。
僕がここに呼ばれたのはアートで古町をなんとかできないか?という部分があると思います。ただ、アートによる町おこしと言っても、アートだけで町が変わるとは思えません。けれども、僕はアートの力を信じています。
古町は新潟駅や郊外の交通の便の良いエリアに押されて、厳しい状況だと聞いています。効率や合理性を考えると古町は難しい部分があるのかもしれません。しかし、合理性やシステムとは関係ない部分が「アート」なんだと思います。「人はパンのみにて生くる者に非ず」という言葉があります。人は合理性だけは生きていけない。その一つの拠り所がアートだと思います。勝ち負けや、合理性の以外の部分で古町とアートで小さな暖かみや、心の拠り所を作って行ければなと思っています。

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――そう言えば、滞在中はどうやって暮らしているんですか?ここに泊まってるのですか?

茂井さん:いやいや。最初はそういうつもりだったんだけど、「新潟のこの時期は寒いよ」ということで(笑)今は近くの下大川前のゲストハウスに長期滞在しています。ご飯はこの辺りでほとんど外食……。料理する時間はなさそうなので、外食しているんですが、牛丼やラーメンや赤狸ばかりで…(苦笑)何か美味しいお店教えてください!

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「鏡を使って何か面白いことしてください」とのリクエストに快く応じてくれました

――では、公開制作で見学に来る方は、ぜひ茂井さんにごはん処を教えてあげて下さい!午後には滞在していることが多いので見学に行って下さい。本日はありがとうございました。

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気軽にスタジオに立ち寄って下さい!手部じゅんさんがお相手してくれます

ワークショップ情報

「色あそび・色のひろがり・いろ色」

  • フルマチ・アートスタジオ会場
    期日 11月2日(日曜)
    対象・定員 小学生以上15名
  • こども創造センター(中央区清五郎)会場
    期日 11月9日(日曜)
    対象・定員 小・中学生20名
    2会場共通
  • 時間 午後1時30分から3時30分
  • 参加費 100円
  • お申込みはこちら:http://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/shinkou/artstudio.html

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スポット情報

フルマチ・アートスタジオ


唐澤頼充この記事のライター 唐澤頼充(ライター/リサーチャー)

 

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※本記事の内容は取材・投稿時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報につきましては直接取材先へご確認ください。